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”呪力の相性の良い呪術師が暴発が発生した時と同じ位置へ攻撃”
そう書かれてある部分をそっと撫で、溜息を零した。
「こんなの無理に決まってるじゃん。」
呪術師の数は少ない。その上、異性と会えばフェロモンに充てられてしまう状況で、実際に会わずに見つけられるはずがない。しかも呪力の相性が良い人間なんて私が生きてる間に生まれるかどうかも不明だし、限りなく無理に近しい条件だ。
記録にある私の先祖は結婚した禅院家の人間がたまたま呪力の相性の良い人間だったみたいだけどこんな運命的なこと漫画や小説じゃない限り起こらない。
それにしてもこの人、フェロモンが収まった後でも禅院家の人間と婚約破棄や離婚してないところを見ると、暴発が収まっても収束前にフェロモンに充てられた人間は効果が半永久的に続くのか。それとも恋愛的にも運命の相手だったのか。そこも気になるけど1番考えなきゃいけないのは呪力の相性の良い人間をどうやって見つけるか、だ。
出会い頭に「私のこと殴ってみてください。」なんて言えるわけないし、フェロモンに充てられてる相手だったら手加減するかもしれない。死ぬまで見つからない可能性の方が十分ある。
「やっぱ自分で見つけるしかないかな。」
そう呟いて本を閉じようとしたのと同時に急に肩を叩かれて本を下に落としてしまった。
新幹線は人の少ない車両を予約したし隣が予約席じゃないことは確認済み。それなのに肩を叩かれたってことはフェロモンが滲みだしてしまったか、それとも知り合いか。の2択だけど。
借りた本を汚すわけにはいかない、そう思って急いで本を拾ってから私の肩を叩いた人物に視線を移す。と、そこには見慣れた顔が立っていた。
「狗巻先輩?」
「しゃけ。」
「どうしてここに……」
未だにびっくりしたままの私に、狗巻先輩は、任務の帰りに乗った新幹線の前の席にたまたま私が座っていたことを教えてくれた。
まぁこんな平日の昼過ぎに真っ黒な服装の人間がいれば目線を向ける理由もよく分かる。それにフェロモンはまだ外に出たままで更に異性の視線を引き付けてる状況だし。
「本当は駄目なんですけど予約してる人いないし、隣座りませんか?」
私がそう言うと狗巻先輩は嬉しそうに笑いながら隣に座った。
実家で色々あったせいか、禅院家との婚約の話のせいか、暴発の止め方が無理ゲーすぎるせいか、狗巻先輩の笑顔を見て少しだけ心が綻んだ気がした。
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ゆう - 続き早くみたい!! (3月19日 14時) (レス) @page39 id: f37b355590 (このIDを非表示/違反報告)
パンピー - 一気に読みました!!すごく面白くて好きです!もう更新はしてもらえないのでしょうか,,,?続き,楽しみにしてます! (2月18日 23時) (レス) id: 2630b906e6 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 面白すぎて、一気読みしました!もう続きはないのでしょうか……? (10月26日 19時) (レス) @page39 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - めっちゃ面白いです!! これってもう終わりなんですか、、? (2022年7月19日 22時) (レス) @page34 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - お父さんまだ娘はやらん的な、親バカだといいな。と脳内お花畑が通ります。すっごく面白いです!一日で全部読んじゃいました!。更新待ってます (2022年1月11日 18時) (レス) @page31 id: 7db18ffeeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2021年3月21日 17時