30:成長と焦り ページ22
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走ったせいで荒くなった息を整えないまま伏黒くんの部屋のドアをノックせずに開く。
部屋の中には野薔薇ちゃんと伏黒くんがいて2人ともほぼ同時に私の名前を呟いた。
気絶したって言っても時間で言えばたぶん2時間くらい。でも”久々に会えた”、そう感じて目頭が熱くなった。
グッと唇を噛み締めて溢れそうな涙を堪えている私に近付いた野薔薇ちゃんはそのまま私を抱き締めて耳元で「……バカ、」なんて囁いた。
心配かけたんだから謝らないといけないのに言葉が上手く出てこなくてただただ野薔薇ちゃんを抱き締め返した。
「あの時何で先に行けって言ってるのか理解できなかったけど、領域展開出来たんだな。」
「未完成だけどね。心配かけてごめんね。」
「別に気にすんな。Aが無事ならそれでいい。」
私が気絶した後の戦いで負傷した伏黒くんもちゃんと元気にピザを食べてる。何でピザがあるのかは知らないけど。
じっとピザを見つめていると野薔薇ちゃんが私から身体を離して「ピザ食べましょ。」と言いながら手を取った。
伏黒くんのベッドの横に置かれていた椅子に座ってピザに手を伸ばす。
「そう言えば虎杖くんは?」
「Aが来る5分くらい前に東堂に捕まってどっか行った。まぁ多分無事だろ。」
「アイツら妙に仲良くなってんのよね〜」
「虎杖くんって来る者拒まずって感じだもんね。」
それにしてもあの東堂さんと仲良くなれるの凄いな。
特級呪霊相手に共闘でもしたのかな、東堂さんの術式は知らないけど虎杖くんと相性良かったとかそういう感じかもしれない。
色々考えながらピザを口に入れるとチーズの香りが口いっぱいに広がった。
起きてすぐだから食べれるか心配だったけどいざ食べるとお腹が空いちゃって無限に食べれそう。
領域展開もちゃんと完成させればこんな風に無限に相手の呪力を吸い取ることだって出来るんだろうけど今は難しいかな。
「私真希さんのとこ言ってくるわね。」
「あ、私も後で行くね。」
ひらひらと手を振りながら伏黒くんの部屋を出て行った野薔薇ちゃんから伏黒くんに視線を移す。と、パチッと目が合ってつい逸らしてしまった。
伏黒くんはそんな私に手を伸ばして、私の頬に手を添える。
静かな空間の中に「こっち見ろ。」なんて伏黒くんの声が響いた。
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ゆう - 続き早くみたい!! (3月19日 14時) (レス) @page39 id: f37b355590 (このIDを非表示/違反報告)
パンピー - 一気に読みました!!すごく面白くて好きです!もう更新はしてもらえないのでしょうか,,,?続き,楽しみにしてます! (2月18日 23時) (レス) id: 2630b906e6 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 面白すぎて、一気読みしました!もう続きはないのでしょうか……? (10月26日 19時) (レス) @page39 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - めっちゃ面白いです!! これってもう終わりなんですか、、? (2022年7月19日 22時) (レス) @page34 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - お父さんまだ娘はやらん的な、親バカだといいな。と脳内お花畑が通ります。すっごく面白いです!一日で全部読んじゃいました!。更新待ってます (2022年1月11日 18時) (レス) @page31 id: 7db18ffeeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2021年3月21日 17時