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05:迷子の猫達 ページ12







みんなでご飯を食べた後、野薔薇ちゃんの提案で渋谷を観光することになった。といってもウインドウショッピングとかなんだけど。

問題は人の視線だ。

ただでさえ白髪で背の高い五条先生がいるのに今はフェロモンが溢れ出してる。

歩くだけで人の視線が私に集まって、彼女連れの男の人からも視線を集めてしまって申し訳ない気持ちになる。

分厚い上着を着てもその繊維を通って身体からも出てくるし髪からも出てる。これを機に切ろうかな。



「なんか私のせいで目立っちゃってすみません。」
「まぁAは可愛いからしょうがないよ〜。」
「おかげで騒ぎまくってる虎杖と釘崎が目立ってないからいいんじゃないか?」



伏黒くんが指差した方向を向くとそこにはサングラスをかけてはしゃいでいる2人の姿があった。

あの2人も結構目立ってると思うけど私のフェロモンで男の人の視線からは逃れてるし、遠巻きに見られるくらいだろう。

地方勢からしたら楽しいよね、と思いながらほのぼのとその様子を見ているとドンッと後ろから誰かにぶつかられて進行方向とは逆の人波に飲まれてしまった。一瞬で4人の姿が見えなくなって周りをきょろきょろ見渡す。

さっきまではみんなといたから耐えれていた人の視線が、人の好意が私だけに集まってきて。それが妙に怖くて足が竦む。そんな私の腕を誰かが握った。



「さっきから見てたんだけど君可愛いよね。俺らと遊ばない?」
「いや、友人と一緒なので。」
「今は1人だからいいじゃん〜!」



いかにもありがちなナンパをされて身体が強張るのが分かった。

訓練はしてきたけど初めての状況で頭が混乱する。

一般人に暴力行為なんてしたら何を言われるか分からない。何もできない私の腕を引っ張り続ける彼等に「やめて」と小さな声で反抗することしかできない。

じわっと涙が滲んで視界がぼやけた時、私の身体を誰かが抱き寄せた。

昨日と同じ柔軟剤の良い香りと筋張った体つき。



「伏黒くん……」
「俺のツレなんですけど。」



伏黒くんは呪霊に向けるのと同じくらい鋭く、怒りがこもった瞳で私の腕を掴んでいたナンパ集団の手を握り締める。

よっぽど痛かったのかナンパ集団は「分かったってば!」と言って舌打ちをしながら人ごみに消えていった。

いつも冷静な伏黒くんの息が上がっているのを見て探しに来てくれたんだ、と察する。それが嬉しくて「ありがとう。」とお礼の言葉をかけた。

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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_  
作成日時:2021年2月2日 19時

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