04:新入生見学 ページ10
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ノースリーブの制服の上からかなり分厚いカーディガンを羽織って、五条先生から送られてきた住所まで伊地知さんに送ってもらう。
新入生の女の子を迎えに行く日だったのに私だけ朝一で任務で、待望の女の子のお迎えだっていうのに遅れてしまったことを悔やんでいる内にもう目的地に到着していた。
「おっ、来た来た!」
「……え、虎杖くんと新入生ちゃんは?」
「この中だよ〜。」
うきうきとした表情で廃ビルを指さす五条先生に驚いてしまう。
新入生ちゃんを迎えに行って東京観光するって話はどこに行ったんだ、なんて思いながら廃ビルの前の道にあるちょっとした段差に座っている伏黒くんの隣に座る。
昨日抱き締められたこともあってちょっと意識しちゃう。
チラッと横目で伏黒くんを見ると首を傾げながら「何だ?」なんて言ってくる。抱き着いたこと忘れてるんじゃないかって疑ってしまう。
「虎杖くんと新入生ちゃん大丈夫かな。」
「いざとなったら俺と五条先生が助けに入るから大丈夫だろ。」
五条先生が廃ビルの方に興味を取られている事を確認した伏黒くんは私の服の袖を引きながら「それより、」と言って近づく。
顔の位置がグッと近づいて真っ黒で綺麗な瞳に驚いて口を開けたままの間抜け面な自分が映った。
離れようと思ってもうまく体が動かない。そうしている内に伏黒くんとの距離はどんどん縮まって鼻と鼻がトンッと軽くぶつかった。
「虎杖の名前出すなよ。」
「な、んで……?」
「ヤキモチ妬くって言ったら、笑うか?」
すまし顔で言ってるくせに伏黒くんの耳は真っ赤で、私にまで恥ずかしさが移ってしまう。顔が一気に熱くなる。
「笑わない」って言いたいのに喉が熱くて言葉が出てこない。
一瞬伏黒くんの顔が離れて肩に手を置かれる。先程と同じように近づいてくるのに伏黒くんは何故か目を閉じていて、キスされるって察した時だった。
私と伏黒くんの唇の間、わずか何cmの隙間にスッと細長くて真っ白な手が入ってきて、「な〜にしてんの」なんて怒った声が耳に入った。
「それは許せないかな。」
「生徒間の恋愛に口出さないでくださいよ。」
「恵には悪いけどAは僕のだからさ。せめて僕より強くなってから手ェ出しなよ。」
伏黒くんと五条先生との間に火花が散っているのが分かる。
私が2人を宥めるのが1番有効的だろうと思って口を開いた時、廃ビルから呪霊が姿を現した。
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2021年2月2日 19時