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いきなり阿部が謝ってきた。今日の事だとすぐに気が付いた。
ただいつもと打って変わって何かに怖がった様子なのが気になって、部屋に入れた。
これくらいの喧嘩で、何を怯える事があるのか。
何か怖がらせるような事をしたか、等と使えない頭なりに色々思考を巡らせていると、
阿部｢…あの時、兄ちゃんが庇ってくれたの、嬉しかったのに、責めちゃって、それで…｣
なんて言い出すものだから。
｢兄ちゃん｣という言葉に完全にフリーズした脳内は、佐久間に｢…え？｣という単音しか出させなかった。
庇った、それ、いつの話だ。
…あぁ、あぁもう5年も前の話じゃないか。
Δ国の、忘れもしない｢あの日｣の、
佐久間｢………思い、出したの…？｣
阿部が｢兄｣の事を忘れてしまったきっかけの。
ボロボロと泣き出す阿部に佐久間はただ放心する事しか出来ない。
阿部｢…どうしよう、兄ちゃん、俺また忘れるかもしれない、兄ちゃんの事、わすれるかもしれない、｣
駄々っ子のように泣き縋る彼に、佐久間はただゆっくり抱き締める事しか出来なかった。
今だけは、｢亮平の兄｣でいてあげたかった。
罪悪感に押し潰されそうになっている彼を、助けてあげたかった。
何より、もう2度と叶うはずないと思っていた｢お兄ちゃん｣という言葉に、もう少し浸っていたかった。
＊
事情を知らなかった3人は唖然とした表情でモニターを見ていた。
向井｢えっ、え…？どういう事？つまり、あべちゃんのお兄ちゃんが佐久間くんって事？｣
岩本｢血は繋がってないけどな｣
向井｢それで…え？あべちゃんはそれを忘れてしまってるん…？｣
深澤｢1回、発狂した時に間違えて家族の記憶を捨てちゃったみたいでさ。…そっから佐久間も、ずっと｢シンメ｣として接するようになったんだよ｣
向井｢…だからあんなにお兄ちゃんっぽかったんや｣
ラウール｢…でも、よかったね｣
渡辺｢うん。…そうだね｣
目黒｢酔ってその拍子に、って事？｣
宮舘｢いや、今まででも酔った事はあるけどなかったよ｣
深澤｢…喧嘩、じゃないかな｣
ラウール｢喧嘩？｣
深澤｢阿部が忘れてしまう前、2人喧嘩してたんだよ。自分を庇った佐久間に、どうして庇ったって｣
目黒｢…だから今回の喧嘩がトリガーになった、と｣
深澤｢推測だけどね｣
情報室は安堵と動揺の空気が広がっていた。
あぁ、やっと思い出してくれた。誰が言わずともそういう空気になっていた。
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みさこ(プロフ) - ダテ様の「ラウールは預かったメール来た」のセリフ好きです (2020年11月14日 5時) (
レス) id: 96340430ed (このIDを非表示/違反報告)
翔(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございます！とても楽しく読ませていただきました！これからも頑張って下さい！ (2020年2月13日 11時) (レス) id: 25ea824704 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんたぬお(；´_ゝ`)(プロフ) - 本当に好きな作品で夜寝る前の日課になっています笑 差し支えなければリクエストの方をさせて頂きたいのですが、緑さんの力が暴走して、兄のことは覚えているのに自分がS隊であること、そしてS隊の皆のことを一時的に忘れてしまう、みたいなお話が見てみたいです…！ (2020年2月12日 22時) (レス) id: e589be5cc6 (このIDを非表示/違反報告)
はら(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いています！リクエストさせて頂きたいのですが、康二が弱ってたりピンチな所を助けるようなお話が読みたいです。目黒が特に康二に優しかったり必死だったらとても嬉しいです、、、。宜しくお願い致します。 (2020年2月12日 22時) (レス) id: 4b0a14856e (このIDを非表示/違反報告)
いちごみかん。(プロフ) - はじめまして！リクエスト失礼します！今回の涼太くんの話見てて、流行り病の時のゆり組の話がみたくなりました！笑お願いします！これからもがんばってください！ (2020年2月11日 22時) (レス) id: bb0523e0f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年2月5日 22時
