＊ ページ12
すっかり変わってしまった街並みの一角に、慰霊碑としてその場所はあった。
私服姿の深澤は、その前に立つ。
街の一角の慰霊碑は、馴染んだように佇んでいる。
何も言わず、静かに手を合わせた。
あの時、男から｢呪い｣を引き継いだのも、岩本の提案で皆に肩代わりしてもらったのも、後悔していないと言えば嘘になる。
現に死の間際の敵から｢化け物｣｢怪物｣だと言われたり、｢呪い｣の弊害だってある。
阿部が｢兄｣の事を忘れてしまった事も、
それで佐久間が時折1人で泣いている事も、
──深澤は知っていた。
向井が｢怪物｣と言われて1番悲しそうな顔をするのも、
目黒は表情には出さないが思う所があるのも、
──全部知っていた。
宮舘がその｢呪い｣を選んで過去に囚われているのも、
それで渡辺を余計に苦しめているのも、
──知っていて尚黙っていた。
16歳のラウールに押し付けてしまったのも、
引き受けたが故に岩本の人生を変えてしまったのも、
──S隊を、居場所を、もう崩壊させたくなかったから。
元々追い出されるように作られたS隊だった。
それでも上層部に認められるように足掻いてきた。
これ以上潰されたくなかった。自分の居場所を壊されたくなかった。
｢呪い｣をずっと背負うと決めていたのも、それがあったからなのかもしれない。
汚れ役は全て自分が負うつもりだったのに、結局相方はS隊全員を巻き込んでいった。
この忌々しい｢呪い｣を解く方法、こんなもの、俺たちが終わらせてやる。
そう言いたげだった。
それで、深澤自身も救われたのかもしれない。
誰にも何も言わずにここに来た。無線も置いてきた。
けれどきっとそろそろ、岩本が居場所を特定して迎えに来るだろう。
岩本｢ふっか！｣
ほら、やっぱり。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1001人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みさこ(プロフ) - ダテ様の「ラウールは預かったメール来た」のセリフ好きです (2020年11月14日 5時) (
レス) id: 96340430ed (このIDを非表示/違反報告)
翔(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございます！とても楽しく読ませていただきました！これからも頑張って下さい！ (2020年2月13日 11時) (レス) id: 25ea824704 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんたぬお(；´_ゝ`)(プロフ) - 本当に好きな作品で夜寝る前の日課になっています笑 差し支えなければリクエストの方をさせて頂きたいのですが、緑さんの力が暴走して、兄のことは覚えているのに自分がS隊であること、そしてS隊の皆のことを一時的に忘れてしまう、みたいなお話が見てみたいです…！ (2020年2月12日 22時) (レス) id: e589be5cc6 (このIDを非表示/違反報告)
はら(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いています！リクエストさせて頂きたいのですが、康二が弱ってたりピンチな所を助けるようなお話が読みたいです。目黒が特に康二に優しかったり必死だったらとても嬉しいです、、、。宜しくお願い致します。 (2020年2月12日 22時) (レス) id: 4b0a14856e (このIDを非表示/違反報告)
いちごみかん。(プロフ) - はじめまして！リクエスト失礼します！今回の涼太くんの話見てて、流行り病の時のゆり組の話がみたくなりました！笑お願いします！これからもがんばってください！ (2020年2月11日 22時) (レス) id: bb0523e0f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：湊都 | 作成日時：2020年2月5日 22時
