10つ目 ページ12
9時40分
少し早めに着いてしまい、まだ彼女の姿はなかった
「うぅぅ…さっむい…」
それでも一応厚着はしてきたものの、少しでも出てる肌が痛い
巻いてきたマフラーを頬の方まで持ってきて寒さを凌ぐ
「(カイロ持ってくればよかった…)」
その時、ふわふわと白い雪が降ってきた
「ぁ…」
そう声を漏らせばまた昔のことを思い出す
その時も、私は待ち合わせをしていて
玄関の前であのお兄ちゃんを待っていた
『お外は寒いよ』
そう言われたのに上着1枚を羽織って
マフラーも手袋もせず、ただお兄ちゃんを待っていた
数分待っていたら、雪が降ってきて
「ゆきだぁ!」
そう言って、1人で玄関の前ではしゃいでいた
「A、お兄ちゃん帰ってくるまでまだ時間あるし
おうちの中で待ってなさい!」
そう言われたのにも関わらず、雪が積もるか心配になった私は
「お兄ちゃんにこの雪見せるの!だからダメ!」なんて言っては、手のひらに雪を集めていた
もちろん、すぐに溶けてしまったが
それでも何故か集まると信じて諦めなかった
それから何時間たっただろう
ランドセルをしょったお兄ちゃんが、息を切らして私の名前を呼んで
それから
…
「それから、どうしたんだっけ…?」
あぁ、思い出さないようにしようと決めたのに
こうしてお兄ちゃんは、私の記憶の中で蘇ってくるんだ
なんだかずるいな、なんて思いながらやってきた彼女の姿を見つけて大きく手を振る
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香雪蘭(プロフ) - れおんさん» ありがとうございます!!凄く嬉しいです!(´;ω;`) (2019年2月13日 12時) (レス) id: b9e2afb4a7 (このIDを非表示/違反報告)
れおん - すごい好きです!更新がすごい楽しみです! (2019年2月13日 7時) (レス) id: 6a02a5c532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:香雪蘭 | 作成日時:2019年2月13日 1時