story206 ピアノソナタ『月光』殺人事件38 ページ12
Aside
『あの...平田さん』
「はい」
「袖に白い粉が付いてるよ」
私が平田さんに声をかけた後、新一君が袖に白い粉が付いていると言った途端、動揺してながら慌てて左右の袖を見ていた所為で自分の財布を落としてしまっている
.........まさか白い粉って言っただけであんなに動揺するとは...平田さんはクロと見なした方がよさそうね
財布が落ちた衝撃で中身がこぼれ出し、バラバラになった小銭を見ると日本の小銭ではなく外国の小銭
......あの反応と外国の小銭を見るとあれは完璧に麻薬の密売に関わっていると言う事が分かった
外国のお金がやけに多かったのもきっと向こうで売りさばいていたのだと納得する
「わ〜外国のお金がいっぱいだ!」
「おじさんは外国のコインが好きなんだよ」
「ふ〜ん...」
平田さんは人に見られたくなかったのか慌てて外国のお金を全て拾った後、急いでここから立ち去った
私は平田さんが見えなくなるまでじっと見つめていた時、新一君が私の傍に来た
「Aさん、今の反応を見ました?」
『えぇ。恐らく平田さんは村沢さんに麻薬の隠し場所を見られた事で口封じの為に彼を殴ったんだわ...』
新一君の問いかけに私は頷きながら平田さんは村沢さんを殴ったのは麻薬の隠し場所を見られたからだと答える
その時、後ろから「ぼ、ぼうや!お、お嬢ちゃん!」と声をかけられ、後ろを振り返るとそこには年配の警官がいて、しかも茶色の封筒を持っている
息切れを起こしている所から見て公民館から村役場まで走ってきたのだとすぐに分かった
「ハァ...ハァ...やっと見つけたんじゃ!麻生さんが残した楽譜を」
麻生さんが残した楽譜が見つかった...!?
この楽譜には必ず事件を解く鍵が書かれているはずだわ!
『すみません、見てもいいですか?』
私は見てもいいかと声をかけると年配の警官は快く楽譜の入った茶色の封筒を渡してくれた
封筒を開けて中身を見ると楽譜があり、暗号を読んでみるとそこには【わがむすこセイジへ...】と書き記されており、他の楽譜の暗号を読んでみると息子さん...セイジさんに向けてのメッセージが書かれていた
『あっ、これは...!』
「どうしました?Aさん」
暗号を読み上げた後、思わず声を上げると新一君にどうかしたのかと問いかけてきた
「やっぱり...おばあちゃんが言った事は本当だったのね。【わがむすこセイジへ...】これは...麻生さんが息子さんに宛てた楽譜だわ。きっと自分達に何かあった時の為にね...」
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作者名:黒羽明菜 | 作成日時:2018年6月16日 2時