31.雨に隠れた ページ32
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仕事中窓を覗くとぽつりぽつりと雨が降っていた
『傘、持ってないな。』
まあこれぐらいなら大丈夫か、と仕事終わりロビーに入ってるコンビニで傘を買わなかった
結果 びっちょびちょ
先程よりも雨が酷くなっている
走って帰っていると突然、野良猫が飛び出してきた
『だぁぁぁあっっぶねぇ!!』
グキッ
思わず避けると足首から聞きたくなかった音が聞こえた
『いっっっったッ………』
とてつもなく痛い
足を引きずりながらも近くの公園にあったベンチに座る
『ねえまじで痛いんだけど。私なんかした?神様に嫌われてんのかな。猫避けたじゃん。なに、蹴っ飛ばして良かった?猫を?さすがにそこまで非人道的じゃないよ。』
痛みから意味わからないことを早口で呟く
とりあえず足首痛い
てかなんでここのベンチ屋根ないの
めちゃくちゃ雨当たってるんですけど
また風邪引くんですけど
そう思っていると突然雨が当たらなくなった
上を見ると梅が傘に入れてくれていた
『うぇ、梅??』
「何してんの。」
『足ひねった』
「ちょうど良かったじゃん。俺車。」
『最高すぎる。』
そう言って傘に入りながら立った瞬間、稲妻のように痛みが足首を突き刺してきた。
『いっったい……むり…』
痛みに悶えてると梅が傘を渡してきて、そのまま軽々と姫抱きにされてしまった。
『ちょ梅!最近文春とかめんどくさいから!』
「俺は別に困んない。
てかこんな雨の中怪我人なんて置いてけねぇよ。」
本当にこの人は優しすぎると思う。
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作者名:幽霊狐 | 作成日時:2024年1月5日 9時