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10.照れ照れ梅ちゃん ページ11

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合鍵で勝手にドアを開ける


『梅〜ただいまー服洗濯してくれたー?』




「……」



『えなに』



リビングに入るとクッションに顔を埋めながらラジオを垂れ流している梅がいた


『なにしてんの』



そう聞きながらラジオを止める


何かごにょごにょと喋っている



『ちょ聞こえない』


そう言ってクッションを引っ張ると、顔を赤くしている梅と目が合った


『え、なに、ほんとにどしたの、』


「俺が、昔からAの物奪うの、、」


『あーラジオのやつ?』


「物よりも俺を見て欲しかったから、」


なんだよその理由


『お、、、おう、、そうか、
てかそんなこと言うのに顔赤くしてたの』



静かにコクと頷く



どうやら本当に恥ずかしいらしい

なるほど、それでLINEがなかったのか
ちょっと可愛いかも


隣に座って梅の頭を軽く撫でて朝貰ったプレゼントを開ける


『可愛いじゃん、センスいいね』


箱の中には指輪が入っていた


「良かった。手出して」


両手を差し出すと右手の薬指にはめた


私はクスッと笑い


『左じゃないんだ』


と言うと


「左は本番用に取っておく」


思いもよらぬ発言に『はぁ!?』と顔を向けると愉快そうにどこか怪しげな笑みを浮かべていた

『こっわ…結婚するつもりないからね、、?』


私が恐る恐るそう伝えると、梅は獣のような目つきでゆっくり口を開いた



「徹底的に俺のモノにするから、精々頑張って」




前言撤回。こいつはやっぱり可愛くない



そう思っていると手が伸びてきて私の頬を包む

そして


「好きだよ、A」


と顔を綻ばせる




今思えば、大人になってから梅が直接触れてくることは1度もなかった



私はこちらを見つめる真っ黒な瞳から抜け出すことができなかった

11.慣れ→←9.イケメンとラジオ



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作者名:幽霊狐 | 作成日時:2024年1月5日 9時

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