さいごまで / 黄衣の王 ページ27
早く逃げて！という通信に対して、私はありがとう！としか送れなかった。
遠くから聞こえてくるチェアが飛んでいく音と彼女の悲鳴に救助に行けなかった罪悪感が後ろ髪を引く。
最初は八人居たこの試合も残りサバイバーはとうとう私を含めて二人だけになり、解読しなければいけない暗号機は三つ。
バールは彼も私も持っているが、彼は彼女を飛ばしたハンターとは別のハンターに追われていて、私もまだ地下への入口を見付けられずにいた。
彼からは絶えずハンターが近くにいる！という通信が送られてきていて、私はそれに頑張れ！持ちこたえろ！と送り返すしかない。
やっと見付けた場所は、船を通り過ぎた先の樽や網が散乱しているところだった。
浜辺の砂に足を取られながらも駆け寄った赤錆色の鉄扉は固く閉じられていて、さてこじ開けようとバールを手に持ったところで、不意に心音がドクン、と大きく鳴り始める。
寒気がして、はっと振り返れば奴が――ハスターがのそりのそりとこちらへ歩みを進めていた。
慌てて逃げ出すも、既に凝視されていたのか近くに生えていた触手が私の体を殴りつけた。
「あっ、ぐぅ…！」
「待たぬか、A」
誰が待つものか。殴られた衝撃を利用して、加速する。
他のハンターよりも歩みが遅い彼なら、小屋までダウンせずにいけるだろうか。浜辺近くの板は全て壊されているし、そこまで持ちこたえたい。
一縷の希望を抱きながら一直線に走る。仲間へハンターが近くにいる！という通信を送るのも忘れずに。
「もう一人の人間なら霧のが追い詰めている筈だ。いくら頑張っても其方らの逃亡は無理だろう」
「っは、それでも、ただ諦めて捕まるのは癪だから」
「我を楽しませようとしているのか。良い、褒めてやろう」
「勘違いしないでほしいね。楽しんでいるのは私で、楽しませているのはハスターだよ」
ハスターが腕を大きく振りかぶる。焦りながら目の前の窓枠を乗り越えれば、背後で彼が窓枠を殴った音が聞こえた。
危ない、もう一歩遅かったらダウンしていただろう。後一発食らえば私はダウンしてしまうから、恐怖の一撃を気にする必要はない。
どうやら板はまだ使われていないみたいだし、暫くは時間を稼げるだろう。
煩わしい心音に集中力が高まっていくのを感じた。
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める@黒執事(プロフ) - リパ様えちえちだ…。鼻血が止まらん… (2019年11月18日 23時) (
レス) id: 62ac38a52f (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - りんご?さん» 閲覧、コメントありがとうございます。マリー様良いですよね〜！下僕になりたい欲望をぶつけて書きました(´ω`*)気に入ってくださったようでなによりです！ (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 玲さん» 閲覧、コメント、リクエストありがとうございます。楽しんでいただけているのなら書いている甲斐がありました！悲しさを表現できるかどうか分かりませんが、最善を尽くさせていただきます…！想像と違うものが出来上がっても何卒ご容赦を……!(′･ω･`*) (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
りんご?(プロフ) - 血の女王好きなので小説で書かれていて何度も読んでしまいました！！笑笑 (2019年10月3日 1時) (レス) id: a099461a17 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！リクエスト？があるのですが「脳に刻む&骨に刻む」の失恋バージョンを読んでみたいです。主人公ちゃんとイライが交際していることを知ったナワーブ君が見てみたい！(←ただの変態でごめんさい！ (2019年9月24日 20時) (レス) id: 750579a695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊歩 x他1人 | 作成日時：2019年1月5日 10時
