兄達と旦那さんはスーパードクターズ 28 (ページ50)

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扁桃腺炎(和)15 ページ50

翔サイド

森川のこと信用してないわけじゃないけど、一応指導医である俺の責任になるわけだから。

「口から吸ってー吐いてーってしてよ和。咳出そうになったら我慢しないで良いよ。痰出そうならしっかり出してね。」

すーって綺麗な音が聞こえてきたと思ったら
吐いたときにぴゅーって高いピッチの音が聞こえてきた。

これ聞き逃したのか...ちゃんと深呼吸させないで聴診済ませてんだろうね。
喘息の既往歴ある患者さんが深呼吸して吐き出したときにwheez聴こえるってのが基本なのに。

「ちゃんと両肺の音、肺野全域で聴いたか？」

和「あら聞き逃しあったのー？」

智「和は黙ってなさい。患者さんなんだから。」

森「あ、はい聞きました。」

「ちゃんと深呼吸させて1呼吸ずつ左右で聴いた？」

森「えー...あ、はい...」

急に自信ない声になったし。

「喘息持ちの患者さんの聴診するときは深呼吸してもらわないとだめだろー。気管支もちゃんと聴いた？」

ころんと仰向けになった和のシャツを少し持ち上げて気管支に聴診器を当てると
案の定狭窄しかかってる音が聞こえる。

「ネブライザーもってこい。」

慌てて出て行った森川。

和「翔兄がオーベンなの？肺野の聴診しかも喘息患者さんの聴診しっかりできないってさー。」

智「かずーいい加減にしなさいよ。若いドクターで翔がついて指導してるんだから、まだまだ発展途上なの。だからちゃんと翔が診てくれてるんでしょ。」

和「はぁーい。」

智兄に言われてしゅんとしてる和が可愛い。

「気管支狭くなってる割にには呼吸辛そうじゃないね。」

和「うん。」

「胸部の聴診は基本だけどマスターするまでには何年もかかるよ。救急の振り分けって生きるか死ぬかが基準だから、ついね。だからこそ細かいところまで神経尖らせられるドクター育てなきゃって思ってるけど。」

智「喘息出そうな感じなの？」

俺と和が森川のことを話してる間も、智兄はやっぱり和の状態が心配なんだね。

「発作が出そうな感じではないけど、扁桃腺炎のせいで上気道も敏感になってるしウイルスのせいで発作誘発されることもあるから予防策としてネブライザーしたほうが良いっていう状態。」

智「そうなんだ。やっぱり翔は頼りになるドクターだね。何でもどんなことでも知ってて対処できるなんてすごいよ。」

和「うん、格好良い。」

「なによ急に2人で。照れるでしょー。」

思ったよりも和の容態も良くてこれなら数日で完治しそうだね。