兄達と旦那さんはスーパードクターズ 28 (ページ44)

今日:1 hit、昨日:16 hit、合計:1,387,207 hit

扁桃腺炎(和)9 ページ44

智サイド

翔から珍しくヘルプの連絡をもらい救急まで急ぎ足で向かう。

「お疲れさまでーす。」

何度となく僕たち兄弟がお世話になってきた救急センターの自動ドアをくぐり抜け挨拶をする。

『翔先生と和先生どこに移動したっけ？さっきまで外来診察室にいたけど。』

『カーテンの1番が空いたからさっき移動してましたよ。』

僕に気づいたスタッフたちが翔と和の居場所を教えてくれる。

「ありがとうね。」

軽く頭を下げてカーテン1番まで急ぐ。

「お待たせー。」

静かにカーテンをあけて中に入る。

翔「ほらー和、見てごらん。智兄が来てくれたよー。」

和「やぁーだー翔兄なのーーー行ったらだめぇー。」

僕、いきなり振られちゃったの...

翔「そんなこと言わないの。忙しいのに来てくれたんだからー。ありがとうね、智兄。」

白衣の袖をぐいぐい引っ張られてる翔。
聴診器が首から落ちてしまわないように必死で押さえている。

「えーっと、で僕はどうしたら良いのかな？」

翔「ルート確保したんだけど抗生剤追加でいれたいからスタッフ誰でも良いから声かけて。」

「どの抗生剤？扁桃腺炎てこと？」

翔「ちょっと診ただけだけど、だいぶ腫れあがってた。熱も38度あってさ。これ以上熱出たら身体辛いだろうから。アモキシシリンでいいよ。」

「オッケー。デキサートもいる？」

翔「どうしようかなー。」

翔がどうしようかなという時はあまり積極的じゃないとき。
余計な口出ししないほうが良かったかなと思い、口を開いた。

「抗生剤だけでとりあえず様子みようか。」

翔「やっぱりデキサートもお願い。ステロイド初期投与しておけば腫れのひきも早いだろうし、喘息で苦しむこともないだろうからね。さっきちょっとゼーゼーしてたから。ありがとう、智兄。さすがだね。」

いまだ和はぐいぐい翔の白衣の袖引っ張ってるし。38度の熱があるわりには元気そうで良かった。
でも白衣しわくちゃになっちゃうよ。

翔にさすがって言われてなんだか照れくさい。
医者やってる年数は僕の方が少しだけ長いけど経験は圧倒的に翔のほうが勝ってるのに。

「すぐもらってくるね。もう少し和の相手頑張ってしてて。」

にっこり笑顔を見せた翔はグダグダして甘えてくれる和のことが可愛くて仕方ないんだろう。