胃痙攣(智)7 ページ31
翔サイド
朝までおそらく眠れるとは思うけど念のためアラームを4時に設定する。
智兄が自分で点滴しようって思ったてことは、それなりに重症だと思うから。
おまけに胃や腸に関しては自分が専門だからって気づかないうちに過信してるところも
あると思うし。
1週間しっかりと服用してくれたら良いけどな。
でもお兄ちゃんだからあれこれ強く言いにくいってのもある。
ドクターとしても先輩だしね。
俺の寝不足で体調崩しても嫌だから早く寝ることにしよう。
*********
アラームの音で目が覚めた。
え？何時？って思って見ると4時。
4時？寝ぼけた頭で考える。
あ、そうだ。
智兄の様子見に行こうと思ってたんだ。
頭が冴えてきてなんでアラーム4時に設定したのか思い出した。
ベッドから抜け出す。少し肌寒いのでパーカーを羽織る。
起こさないように静かにドアを開けてベッドまで近づく。
あれ？
「智兄？」
規則正しい寝息が聞こえてくると思っていたのに、
んん、はぁぁ、んん、
不規則な呼吸が聞こえてきた。
眩しくないように少し場所を移動させて枕もとの電気スタンドを点ける。
「どうしたの？お腹痛い？」
こっち向きに横向きになりぎゅっと目を閉じて息を止めている。
両手をお腹の前で組んでいるので頚動脈で脈の確認をする。
「智兄いつから痛くなったの？起こしてって言ったのにー。」
薬飲ませて4時間。
ムコスタとビオフェルミンだったから胃粘膜はちゃんと保護されているはず。
智「い、痛い...5分くらい前、急に...はっはっんんーー。」
脈は速いけど問題なさそう。熱もないな。
「胃痙攣起こしてる感じ？痛いところどこ？」
智「み、みぞおち。」
「ちょっとごめんね。」
声をかけて智兄の手をとり、お腹から離す。
「この辺痛い？」
みぞおちを軽く押さえると悲鳴をあげて身体を丸くした。
すごい力はいちゃってカチカチなんだけど...
智「ブスコパン、ちょ、ちょうだい...翔、はぁはぁ、おなか。」
「すぐに持ってくるね。」
残念なことにアンプルきらしてて錠剤しかない。
でもまあ20分もあれば効いてくるはず。
急いで智兄の部屋に戻る。
「ちょっと念のためお腹さっと診させて。バイタル問題ないから大丈夫だと思うけど。」
仰向けになった智兄のお腹全体をサッと触診して腸音を確認する。
「はいじゃこれ飲んで。アンプルなかったの、ごめん。」
ごくごくと錠剤を飲み込んだ智兄はまた身体を折り曲げてしまった。
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作者名：ルパン
| 作成日時：2016年8月28日 21時
