腸炎6 ページ19
雅サイド
「和兄、救急車呼んでくれる？」
和「オッケ。」
立ち上がりスマホを取り出している。
俺は翔兄の診察の介助、Aがもぞもぞと動かしている、というか痛みでじっとできないのであろう両足を保定している。
翔兄がそっと優しくお腹触ってるだけなのに、うんうん唸ってるA。
この状態が昨日から続いてたとしたら...
「どう？」
翔「堅くはなってないに腹壁に緊張もない。オペ腹じゃないよ。下腹部全体に圧痛。急性の腸炎かなーってとこだけど。」
はぁとりあえず一安心。
翔「でも血圧これだけ下がってるってことはちょっと注意して観察しなくちゃいけないけど。まぁおそらく脱水が一時的に血圧の低下の原因になってるんだと思うけど。」
A「ううーーん、痛い、お腹...」
翔「下痢した？」
こくん、こくん、と頷いて返事している。
翔「どのくらい下した？お水みたいなの？」
A「昨日の、朝から...」
「えーーっ、昨日の朝からずっと下痢？そりゃこんな状態にもなるわー。もう体の水分出切ったんだろうね。うんちの色してた？」
A「...み、みず...」
和「すぐ来るって。15分後到着予定。」
翔「ありがと和。Aもうすぐ救急車来るからそしたら一緒に病院行こうね。翔にぃと雅が診てあげるから心配ないよ。お腹まだ痛い？」
相変わらず体折り曲げて唸ってる。
救急のベテランの翔兄の診断を疑うわけじゃないけれど自分でも診ておきたい。
「ちょっと変わってくれる？」
翔「うん、雅も診てあげて。消化管のことはお前のほうが専門だし診てきた数が全然違う。」
優しく足を固定してくれたのを確認してから部屋着のパジャマを腰骨辺りまで一気に下げる。
いつもならすぐに反応して手で払いのけてくるのに、そんな体力は残っていないみたい。
「痛いだろうけどちょっと頑張ろうな。なるべく動かないでよA。ゆっくり口から吸ってー吐いてーってしててよ。」
頑張ってぎこちなく深呼吸始めた。
「一番痛いのはどのあたりかなー。」
さっとみぞおちのあたりに触れて圧痛のないことを確認する。
おへそのまわりも大丈夫そうだね。
おへその少し下あたりを押さえるとぐっとお腹に力が入った。
「ごめんごめん痛かったね。ここはどうかな？」
少しずつ右へ手をずらしていく。押さえるとやっぱりぐっと力が入るけどすぐに柔らかくなる。
左のほうも同じだ。
「翔兄の言うとおり下腹部全体圧痛あるけどデファンスはないね。」
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作者名：ルパン
| 作成日時：2016年8月28日 21時
