腸炎4 ページ17
翔サイド
40度超える発熱って...
しかもいつからこの状態だったのか、考えると恐ろしい。
喉は大丈夫そうだと和が言っている。
和「昨日の夜着替えだけ取りに帰ってきたんだけど、その時にちゃんと顔合わせて少しでも話しておけば良かったよ。まさかこんななってるなんて思わなかったから。」
汗ばんで前髪がおでこにひっついてるのをぬぐってやっている。
「急な当直だったわけだし急いでたから仕方ないよ。具合悪いって知ってたなら様子見ただろうけどさ。その時は部屋にいたのA？」
はぁはぁと浅く速い呼吸をしながら苦しそうな表情をしているA。
和「いや、トイレに入ってたから、ドア越しに用件だけ言って俺は病院にとんぼ返り。」
雅「俺も翔兄も結局夜中まで救急でひたすら患者さんの対応に当たってたもんね。」
「A息苦しいのかな？熱が高いから呼吸もこんなもん？」
苦渋の表情を浮かべているので心配になる。
どうぞって雅から差し出された聴診器を受け取りベッド際に膝立ちになる。
「冷たいけどちょっとごめんね。」
これだけ体温高いとチェストピースどれだけ温めても冷たいのに変わりはない。
こっち向きで横向きになっているA。眉間に皺を寄せてだいぶ辛そうだ。
タオルケットを腰あたりまで捲くり部屋着の裾に隙間を作り聴診器を滑り込ませる。
トクトクトクと速い鼓動が聞こえてくる。
心臓がとりあえずは大丈夫なことを確認してから肺の音を慎重に聴く。
もし喘息の徴候があれば今のうちにちゃんと対処しておかないと。
この高熱と喘息の発作では体力が持たない。
気管支が狭くなっていないか慎重に聞いておく。
和「どう？気になるとこある？」
いつもより長く時間をかけたせいか和が心配している。
「いや特に。エアもしっかり入ってるし喘息の徴候もない。呼吸が速いのは熱のせいだね。」
雅「病院連れて行く前にメチロンだけ打ってしまおう。このまま動かすのは多分相当辛いはずだから。」
バッグの中をゴソゴソとあさってくれてる。
背中をゆっくりさすってやっている和。
それだけでだいぶ楽になるからね。
A「ううぅぅ。んぅぅ...はぁっはぁっ。んんぅぅー。」
体をクルンと丸めて唸り出した。
「どした？お腹痛かったのA？」
和「俺が昨日着替え取りに帰ったときからお腹の具合悪くてトイレ行ってたのかも。」
腕時計に目を落とすと午前10時前。
少なくとも12時間以上は痛みと熱に一人で苦しんでたのか...
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作者名：ルパン
| 作成日時：2016年8月28日 21時
