宝物×宝物＝ part２ (ページ43)

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優菜side　過去と初恋ページ43

こんぺいちゃん…やなかった、こんぺいと友達になることができた。

私はあんだけひどいことをしたのに。

こないな私にまで優しくしてくれるこんぺいは、シルクが選ぶだけある。

バカやな、うち。

こんぺい傷付けて、シルクが自分の事好きになってくれるとでも思ったのだろうか。

そないな事絶対にないのに。

もともと私がシルクの事を好きになったのは、高校の時、声をかけてくれたことから始まった。

中学に入ってすぐ、母親を亡くして、父親と弟と三人で暮らしていた。

優しかった父親は、母が亡くなってから、何も手につかんようになった。

仕事でのミス、まだ幼い弟のいたずら、そんなストレスから家でも失敗ばかりの自分。

精神的に不安定になった父親は、私に手を出すことで、そのストレスから逃れようとしていた。

当時反抗期であっただろう私は、そんな父親のせいで、誰よりも大人しくなってしまった。

二歳だった弟を庇って、心にも体にも、傷を負った。

そんな生活が３年間続き、私は高校へ進学した。

バスケ部だった私は、バスケの強い所に行こうと思っていたため、東京の某高校を選んだ。

高校では、極力誰とも関わらず、黙々とバイトをして、早く家を出ようと思っていた。

しかし、その時出会ったのが、シルクだった。

クラス、いやちゃうな、学年の誰よりも明るくて、誰よりもおもろい。

不思議とシルクの周りには、自然に人が集まっていった。

そして私も、その中の一人だった。

今まで暗い生活を送っていた私に、再び話すことや遊ぶこと、騒ぐことの楽しさを教えてくれたんが、シルクだった。

心に光が射し込んだようだった。

明るいシルクに相手にしてほしくて、明るい日々を失いたくなくて

必死にシルクを追いかけた。

バスケも私より上手くて、同時に目標もできた。

何もかもを変えてくれた。

それが彼だった。

いつのまにか好きになってて、好きだから一緒にいる、という理由も生まれた。

毎朝大阪から東京まで行くのは遠すぎるし、キツいが、これからシルクに会えると思うとなんて事はなかった。

もちろん、父親が変わることはなかったが、日常が明るくなった私にとって、変わったようなものだった。

高校を卒業して、大学生になって

そして、今に至る。

正直、あれが私の初恋だったんやろうけど、もらってくれた人がこんぺいで良かった。

心からそう思っとる。