宝物×宝物＝

リスナーさんへのご報告 ページ8

「ただいまぁ〜…」


誰もいない部屋に声をかける。


私は今、フィッシャーズハウスから帰ってきたばかりだ。


コートをかけ、手を洗い、カメラをセットする。


これから撮るのは、

・私が今のチャンネルを辞めること

・フィッシャーズに入ることになったこと


この二つを報告するための動画だ。


「みなさんどうもこんにちは！こんぺいですっ！えー、今日はですね、みなさんに、大事な大事な大事な大事なお話があって、この動画を上げました。」


出だしは大丈夫だろうか。


いくら賛成の票が圧倒的だったとはいえ、反対の人もたくさんいたのは事実だ。


粗末に撮っていいものではない。


「えーっとですね、私、こんぺいは、なんと、フィッシャーズに入ることになりました！」


「フィッシャーズさんの方もご覧になっている方はもうご存じかと思いますが、一応、こういうことになった経緯を、今日はお話ししたいと思います。」


そして私は、投票で決まったことなどを洗いざらい全て話した。


説明し終わったあと、もう一つの話へと移る。


「ここまで話してきましたが、残るのは私のアカウント、チャンネルでございます。」


「こちらの方はですね、今後、私の個人的なアカウントにさせていただきたいと思っています。…分かりやすく言うと、フィッシャーズシルクロードさんの『ロードシルク』みたいな感じですね。」


最後に、今までの感謝の気持ちを込めて。


「今まで応援してくださった皆さま、本っっっっっっっっ当に、ありがとうございました！！これからはフィッシャーズの方で頑張っていきたいと思いますので！そちらで皆さんと関わっていけることを楽しみにしています！フィッシャーズのチャンネル登録も、よろしくお願いします！」


「それじゃあ、ばいばい！」



――――ﾊﾟﾀﾝ


動画を止め、モニターを閉じる。


フィッシャーズに入れるという嬉しさと期待の反面、やっぱりここから離れたくないという寂しさもあって、心はグチャグチャだった。

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