【刀剣乱舞】アトラスの少女 (ページ8)

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7.わかりきったことページ8

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　心底見下すような声音で、嘲笑うように彼は言の葉を紡ぐ。

「その能力の低さで俺を喚べたことは褒めてやろう、人の子よ。──だがなぁ、俺という刀を扱うのに、お前ではあまりにも役不足だ」

「……はぁ？」

「……まぁ、給料分は仕事をしてやるさ」

　ふ、と柔らかく笑んでから、彼は再び口を開く。

「いつまで呆けている。早う案内してもらわねば困るな」

「……こんのすけ、次はどうするの」

「け、顕現早々で申し訳ないのですが、先程敵軍に動きがあったとの報せが届いております！
すぐに合戦場へのゲートを開き、刀剣様を戦場へ送ってくださいませ！」

「わかっ」
「ふむ。この管狐は中々に有能と見えるな。……では参るとするか」

「……ハイ」

────
──

　ゲートを開き、あの麗人を戦場へ送ってから、こんのすけと共に戦況を画面越しで見ている訳であるが──

「ねぇこんのすけ」

「？どうされましたか、雪花さ……」

「なんｯｯｯなのあいつ、態度デカすぎ！！よろしくの挨拶すら遮りやがって、人に自己紹介する時間すら与えない！！おまけに口を開けば嫌味嫌味また嫌味のオンパレード！！
お前は一体何様だ！神様ですがそーうですか！！」

　ダン！！と拳を机に振り下ろした。
じんじんと痛みがやってくるが、それよりも勝る怒りのお陰で微塵も痛くないのが驚きだ。

「あの方の名は三日月宗近。平安時代の刀工、三条小鍛冶宗近の作であり、かの有名な天下五剣の1振り。その中で最も美しいとされる刀でございます」

「へぇ。それで？」

「せっ、政府内で契約を結んだ刀剣様のうち、確認が取れている中でも、あの方は随一の希少価値を誇ります。彼との交渉は難航したと聞きます。逸話やこれまでの来歴がそうさせるのでしょうが、彼は非常に気位が高く……」

「なーるほど。だからあんなに上から目線の嫌味ったらしい奴になったと？なるほどなるほど、つまり神様はみんなあんななのか」

「い、いえ、そのようなことは決して！！皆様お優しい付喪神であると伺っております！」

　露骨に焦るこんのすけに「……ごめん、ただの八つ当たりだね」と謝る。

　外れくじ。役不足。能力の低さ。
──そんなこと、言われなくともわかっている。

　わかっていたことだろう。
　わかりきったことだろう。

(この状況で、私がここにこうしていること自体、……おかしいんだから)

　彼は、何一つ間違ったことは言っていないのだ。