118話:ブリザード ページ22
突然聞こえた声に驚いて振り返ると、萌葱色の制服を着た少年が鋭い視線をこちらに向けている。
萌葱色は三年生、ということは、彼は昼に雷蔵君が言っていた生物委員の蛇を飼っている子なのだろう。
「すみません、たまたまここでお会いして。……ジュンコさん、飼い主さんですか? お迎えみたいですよ」
私の言葉にシャア、と小さく鳴いたジュンコさんが、体をくねらせて少年の元へ進んでいく。
「ジュンコ……! 無事だったんだね、心配したよ」
スルスルと器用に少年の体を登っていったジュンコさんに、彼は嬉しそうに頬擦りする。
同じように擦り寄ってくるジュンコさんに幸せそうな笑みを向けた後、再び私を冷たい目で見下ろしてきた。
「で、貴女は? ジュンコに何の用ですか」
……落差がすごいね、マジで!
視線の温度が一気に五十度くらい下がったような気がする。
さっきまでの笑顔がひだまりだとするならば、私を見る目は氷点下だ。
ブリザードが吹き荒れている。
勘弁してください。
いっそ清々しいくらいのその変わりっぷりにあんぐりしつつ、私は愛想笑いを顔に貼り付ける。
「お風呂に行こうとしたら道に迷ってしまって。生物小屋がくの一長屋の近くだと昼に聞いていたものですから、そちらに向かおうとしていたらジュンコさんにお会いしただけです」
怪しい者じゃないですよアピールを全力でしつつ、彼の肩に乗るジュンコさんに「ね!」と同意を求める。
蛇が同意してくれるかどうかは知らないけれど。
してくれたらいいな。
むしろしてくれないと困る。
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真白(プロフ) - わそ姉大好きリスナーさん» ありがとうございます!ホントですか?それは光栄です。天女様系には素敵な作品も多くあるので、私の作品をきっかけに他の方のもいけるようになってくださったら嬉しいです(*´∀`*) (2023年1月29日 18時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
わそ姉大好きリスナー - 面白かったです!自分は天女様系が苦手でしたけど、真白様のこの天女様系はなんかいけました!((^^ω)更新ファイト!!!!です(^^ω) (2023年1月25日 10時) (レス) @page23 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - 千颯さん» わあああ!ありがたいお言葉ありがとうございます!!!私の更新が千颯さんの生き甲斐になっていたですって……?これからも気合いを入れて更新していきますので、楽しみに待っていてくださいませ! (2022年12月18日 18時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
千颯 - 毎週投稿を楽しみに生きてます( これからも作者さんのペースで頑張ってください!応援してます! (2022年12月11日 11時) (レス) @page18 id: ecd2d0aa76 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - れいらさん» この更新スピードは、れいらさんを始めとする読者の皆さんのおかげなんですよ!ご期待にお応えできるよう、これからも頑張りますね♪ (2022年10月22日 20時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真白 | 作成日時:2022年10月22日 13時