91話:少しずつ重なる ページ45
「失礼します。Aです」
事務室の前でそう声をかけた私は、カラカラと障子を開ける。
中にいた吉野先生が、不思議そうな顔でこちらを見た。
「おや？ Aさん、書類を配布し終えたらそのまま帰っていいとお伝えしたと思ったのですが……何かありましたか？」
「あぁ、いえ。その、体育委員長が見つからなくて。お夕飯の時に食堂にいらっしゃると思うので、その時にお渡ししたいのですけれどいいですか？」
私の言葉に、吉野先生は納得したように頷く。
「そういうことでしたか。構いませんが……それでは少し面倒でしょう。書類をいただけますか？」
少し考えるようなそぶりをした後、吉野先生がこちらに手を伸ばした。
疑問に思いつつも、鞄から書類を取り出して先生に渡す。
「小松田君。七松君を探してこれを渡しておいてもらえますか？」
「わかりましたぁ」
部屋の隅で書類の枚数を数えていた秀作君が、パッと顔を上げて笑顔で受け取った。
「え？ あの……」
「気にしないで、Aちゃん。七松君見つけるのは初心者には大変だから」
「元々学園の中を歩いて道を覚えていただくのが目的でしたので、既に達成できています。食堂で渡してしまうと書類が汚れてしまう可能性もありますから、これでいいんですよ」
「あ、ありがとうございます」
二人から優しい笑顔でそう言われ、私は戸惑いながらも頷く。
「他の委員会へは配り終えましたか？ でしたらAさんの本日の事務室での業務は終了です。お疲れ様でした」
「ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げて、私は事務室から出た。
障子を閉める時にもう一度見えた秀作君は、変わらず笑顔だった。
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わそ姉大好きリスナー - Ahoy 学校行きたくねェェェェェェ 続編に出航〜♪ (2023年1月25日 9時) (
レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます！忍たまって鬼滅並みに難読苗字多いですよね笑。尼子先生の出身地の尼崎の地名から取っているそうなのですけれど、私も最初は漢字と読みがなかなか一致しなくて困りました。食満は初見じゃ絶対に読めないと断言できますよね！ (2022年8月12日 19時) (レス) id: 23eb6548af (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - マジで夢主ちゃんに同感です。食満って名字、最初は「しょくまん」って読んでしまいますよね。私もアニメで聞くまでしょくまんだと思ってました！ (2022年8月12日 19時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真白 | 作成日時：2022年4月28日 21時
