【忍たま】本が読みたい私のそれどころではない室町生活2

90話:配布終了（予定） ページ44

「ふぅー。これで今配布できる委員会は全て終わりですね」



三十分後。

用具、火薬、生物委員会の委員長達に無事書類を渡し終えた私は、ぐぐぐっと伸びをしながら不破さんを見た。

この三つの委員会は下級生は活動に参加しておらず、それぞれの活動場所にいたのは委員長だけだった。



……生物委員会に至っては活動すらしていなかったし……。



たぶん部屋にいる、と言いつつ不破さんが生物小屋へ案内してくれたのだけれど、案の定というか何というか、そこには誰もいなかった。

中で虫が鳴く声や羽音なんかがしていたから、生物がいないわけではないと思うのだけれど……。

世話をしなくていいのだろうか。



……私が気にすることでもないのかもしれないけどさ。



むーん、と考え込んでいると、不破さんが不思議そうな顔で覗き込んできた。

誤魔化すように曖昧に笑っておく。



「Aちゃん、お疲れ様。吉野先生のところへ行って体育委員会のことを言っておこうか」

「そうですね。不破さん、案内してくださってありがとうございました」



結局体育委員会は見つけられなかった。

当初の予定通り、夕飯の時に渡すことになりそうだ。


それにしても、体育委員会はいけどんマラソンで一体どこまで行っているのだろう。



「どういたしまして。その後はもう終わり？ まだ仕事があったりするのかい？」

「いいえ、これでもう終わりです。その後は、図書室へ行こうかと……！」



図書室。あぁなんて素敵な響き。

想像しただけでにやけてしまう。


鼻歌でも歌い出しそうな私の横で、不破さんも嬉しそうに微笑む。



「Aちゃんは本当に本が好きなんだね。図書室に着いたら利用時の説明をして貸し出しカードを作るから、読むのはその後ね」

「はいっ！」



……貸し出しカードだって！ ふわぁぁ、楽しみすぎて胸が痛い！



とろけそうな笑みを浮かべて返事をした私に、不破さんが声を上げて笑った。

91話:少しずつ重なる→←89話:おねだり

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す