78話:ギスギスした楽園 ページ32
「……それだけ、って何がですか？」
振り返ると、中在家さんの隣に座っていた藍色の忍び装束の男がこちらをじっと見ていた。
いや、彼だけではない。
浅葱色に井桁模様の忍び装束を着た二人も、さっきの二年生も、中在家さんでさえ、驚いたようにこちらを見る。
「天女様は本がお好きだと伺いました。せっかく図書室にいらしたのですから、てっきり本をお読みになるのかと」
すみません、と人の良さそうな笑みを浮かべて言った五年生に、私はハンッと鼻を鳴らす。
「もちろん、本は読みたくてたまらないですよ。今だって、そこの本棚に飛びついて本の香りを胸いっぱいに吸い込みたいのを必死に我慢しているくらいですもの」
私の言葉に、下級生達が頬を引きつらせたような気がするけれど、見なかったフリをして私は話を続ける。
「ですが、私は学園で事務員として働くお給料として、図書室への入室許可をいただいています。本とは知恵の結晶。私を図書室に入れるということは、私に情報を与えるということに他ならないはず。学園長先生は少なからず私のことを信頼して許可を出してくださっているのです。その信頼を裏切るわけにはいきません」
キリリとした顔でそう言った私を、下級生達はキョトンとした顔で見つめてくる。
少し長くなってしまったし、理解できなかったのだろう。
「つまりね、私はいつでもこの
私はあくまで小声でそう言い放ち、ドヤ顔で胸を張った。
どう反応して良いかわからない、というように苦笑する五年生に、スッと目を細める。
「何より、こんなギスギスした空間で呑気に本が読めるほど野太い神経は持ち合わせていませんので」
私がそう言った途端、ピキリと五年生の笑みが凍った。
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わそ姉大好きリスナー - Ahoy 学校行きたくねェェェェェェ 続編に出航〜♪ (2023年1月25日 9時) (
レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます！忍たまって鬼滅並みに難読苗字多いですよね笑。尼子先生の出身地の尼崎の地名から取っているそうなのですけれど、私も最初は漢字と読みがなかなか一致しなくて困りました。食満は初見じゃ絶対に読めないと断言できますよね！ (2022年8月12日 19時) (レス) id: 23eb6548af (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - マジで夢主ちゃんに同感です。食満って名字、最初は「しょくまん」って読んでしまいますよね。私もアニメで聞くまでしょくまんだと思ってました！ (2022年8月12日 19時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真白 | 作成日時：2022年4月28日 21時
