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62話:信じて。 ページ15

「私のこと、怖いですか?」

「あ、えっと……」



初っ端からどストレートに聞いた私に、小松田さんが躊躇うように視線を彷徨わせる。



「心配しなくても、小松田さんが正直に言ったことで怒ったりはしません。貴方が何を言っても、それを責める人はもうここにはいませんから」



自分から聞いておいてキレるようなことはしない、と言うと、小松田さんはハッとしたようにこちらを向いた。

まだ若干迷いが残っているその顔に、安心していいよ、と微笑みかける。



「天女様のことは、怖かったです」



ぽつり、ぽつりと言葉を選ぶように小松田さんは話し始めた。


不快な臭いがする少女が来たこと。

上級生はそれをいい匂いだと言ったこと。

事務室で一緒に働きだしたこと。

指示を全く聞いてくれなくて、怒鳴られたこと。

叩かれたり、罵倒されたりしたこと。

天女の周りにいる上級生に反撃されるのが怖くて、何も言い返せなかったこと。

下級生が倒したことでやっといなくなったと思ったら、すぐにまた他の天女が来たこと。


そんなことを、悲しさや悔しさ、もどかしさが混ざる声で、ゆっくりと教えてくれる。


その話をただ頷いて聞いていた私は、ひと段落したのか小松田さんが話すのをやめたところで口を開いた。



「小松田さん。私からも、そういう臭いしますか?」

「え……」



ゆるゆると首を振る小松田さんに、私は「良かった」と小さく呟く。



「ね、見てください」



私は右の袖を捲ると、力こぶを作る真似をした。

言わずもがな、万年文化部の私の腕には何の変化も起こらない。



「私の腕、ひょろひょろでしょう? 体力も持久力もちっともない。走るのだって、きっと貴方より遅いです。天女様と違って、庇ってくれる上級生もいない。──だからもし、貴方が私に何かしてしまっても、私には貴方を脅かすことはできないんです」



呆然とする小松田さんに、私は穏やかに続ける。



「……私のことも、怖い?」



力の緩んだ彼の目尻に、涙が滲む。



「怖くっ……、ない」



一拍遅れて、嗚咽が漏れ出た。



「僕、は、Aさんが来てから失敗ばっかりしてて。でも、Aさんは、Aちゃんは僕のことちっとも責めなくて。僕はだめなのにっ。なのに、殴ったり怒ったりしないで、大丈夫だよって、言ってくれる」



子供のように声を震わせ、言葉を詰まらせてなお、続けようとする。

想いを。

確かに、私に。

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わそ姉大好きリスナー - Ahoy 学校行きたくねェェェェェェ 続編に出航〜♪ (2023年1月25日 9時) (レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます!忍たまって鬼滅並みに難読苗字多いですよね笑。尼子先生の出身地の尼崎の地名から取っているそうなのですけれど、私も最初は漢字と読みがなかなか一致しなくて困りました。食満は初見じゃ絶対に読めないと断言できますよね! (2022年8月12日 19時) (レス) id: 23eb6548af (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - マジで夢主ちゃんに同感です。食満って名字、最初は「しょくまん」って読んでしまいますよね。私もアニメで聞くまでしょくまんだと思ってました! (2022年8月12日 19時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真白 | 作成日時:2022年4月28日 21時

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