49話:朝会 ページ2
「おお、お待ちしておりましたぞ、Aさん」
校庭に出ると、学園長先生が好々爺の顔つきで迎えてくれる。
もう既に生徒達は全員集まっていて、こちらを睨むように見つめていた。
生徒達の前にある朝礼台のようなものの上に登った学園長先生が、ぐるりと生徒の顔を見回す。
その瞬間、今まで不躾にこちらをじろじろ眺め回していた目線はなくなり、全員がザッと学園長先生の方を向いた。
「既に知っている者もおるじゃろうが、昨日六人目となる天女様がいらっしゃった。今から挨拶をしていただく。Aさん、こちらへ」
学園長先生から名前を呼ばれ、シナ先生にポンと背中を押された私は、朝礼台に登る。
「今日からこちらで働くことになりました、AAです。……えっと、よろしくお願いします」
仙蔵さんに「私らしさを見せつけろ」と言われていたことなど、緊張で全て吹き飛んだ。
刺すような鋭い視線のせいで、自分が歓迎されていないことが嫌でもわかる。
「Aさんには、主に食堂と事務の手伝いをしてもらうことになっておる。思うことはあるじゃろうが、温かく──」
学園長先生がそこまで言ったところで、生徒達の中から何かが真っ直ぐこちらに向かって飛んできた。
「ひゃあっ」
とっさに頭を抱えて身を捩り、その場にしゃがみ込む。
キンッ! カラン、カランカラン……。
金属同士がぶつかった音と何かが落ちる音が立て続けに鳴った後、何の音もしなくなった。
「……え?」
恐る恐る顔を上げた私の目に映ったのは、庇うように私の前に立つシナ先生の背中と、その前で武器を構える仙蔵さんだった。
「Aちゃん、大丈夫よ。私達が守るから」
キッと生徒達のことを見据えたまま、シナ先生が私にだけ聞こえるくらいの声でそう言う。
凛としたその背中が心強くて、私はこくりと頷いた。
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わそ姉大好きリスナー - Ahoy 学校行きたくねェェェェェェ 続編に出航〜♪ (2023年1月25日 9時) (レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます!忍たまって鬼滅並みに難読苗字多いですよね笑。尼子先生の出身地の尼崎の地名から取っているそうなのですけれど、私も最初は漢字と読みがなかなか一致しなくて困りました。食満は初見じゃ絶対に読めないと断言できますよね! (2022年8月12日 19時) (レス) id: 23eb6548af (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - マジで夢主ちゃんに同感です。食満って名字、最初は「しょくまん」って読んでしまいますよね。私もアニメで聞くまでしょくまんだと思ってました! (2022年8月12日 19時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真白 | 作成日時:2022年4月28日 21時