-6年 2人の家 2 ページ16
「Aを一人にするつもりはなかったんだ」
言い訳をするように視線を斜めに逸らしながら言う彼に、私は続きを促すように小さく頷く。
研二君が死んだ日、景光君は茫然と立ち尽くす私を抱きしめて、そばにいると言ってくれた。
あの言葉は嘘ではなかったと思うし、事実そうなるはずだった。
何もなければ、二人で一緒に、生きられるはずだったのだ。
「でも、オレといたら君が危険な目に遭う可能性が高くて」
だから、一緒にはいられない。
絞り出すようにそう言う景光君の頭に、私はゆっくりと手を伸ばす。
彼を困らせたくなくて、あえて彼の所属は聞いていない。
けれど、現時点では『彼女』である私には言えないという時点で、何となく見当がついている。
だとすれば、今回彼が与えられたのはやはりどこかの組織への潜入の任務か。
「どこに潜るのか知らないけど、そんな演技力じゃすぐにバレちゃうよ?」
「ごめん……」
茶化すように戯けた調子で「もう」と笑うと、自覚があったらしい彼は肩を落とす。
仕事の時とそうでない時とのオンオフの切り替えがきちんとできる人だとは知っているけれど、こういうところを見ると少し心配になる。
いつもより少し小さく見える彼の頭にそっと唇を落とすと、景光君は驚いたように顔をこちらに向けた。
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真白(プロフ) - シンヤさん» わ〜!ありがとうございます!デートシーンを書くのに時間がかかっているせいで更新亀さんですが、良ければこれからもよろしくお願いします! (11月15日 20時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています🥰 (11月15日 0時) (レス) @page12 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真白 | 作成日時:2023年9月13日 17時