【忍たま】本が読みたい私のそれどころではない室町生活

8話:と○っぴー ページ10

忍たま乱太郎。

某教育テレビで私が小さい頃から放送されている、アニメの長寿番組である。

幼稚園児だった頃に見ていた記憶がぼんやり残っている程度で、主人公の乱太郎きり丸しんべヱくらいしか覚えていない。


三十代の人もいることだし、この誘拐犯達はおそらく先生なのだろう。

曲がりなりにも教師である者達が人を誘拐しようとするってどうよ、と思ったけれど、口には出さないでおこう。

色んな意味で、不用意に喋ったらいけない気がする。


私が新たに発覚した新事実に衝撃を受けている間に、小平太が門をドンドンと叩く。



「はぁーい」



少し間延びした声と共に、私より少し下くらいの年の男が出てきた。

胸に『事務』と書かれた忍び装束に身を包み、茶色いバインダーを手にしている。



「あ、七松君達。おかえりなさーい。雨の中お疲れ様。遅かったねえ」



……わかった。この人『と○っぴー』の人だ。



とある子供番組の緑の鳥さん、『とり○ぴー』と同じ声の事務員さんがいたはずだ。

確か名前は、えーっと……小松田さん。



「すみません、小松田さん。途中、天女様にお会いしまして」



茶筅髷の男がそう言った。

どうやら正解だったらしい。



……思ってたより覚えてるね。この調子でいけば私、この世界でもやっていけるんじゃない？ うふふん。



そう思ったのも束の間。



「て、天女様……？」



小松田さんが怯えた目でこちらを見た。

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