17話:許可が出た ページ19
「ふむ、理解した。本が読みたいという気持ちに嘘偽りないのならばそれで良い。図書委員会顧問の松千代先生、図書委員の長次、雷蔵。この三人の誰かがいる時に限り、図書室の利用を許可する」
ちっとも理解できていないように見えるのに許可を出した学園長先生に、私は小さく首を傾げた。
しかし、その疑問は図書室に入れるという喜びによってぺいっと投げ捨てられる。
「わぁい! 学園長先生、ありがとうございます!」
「ただし、きちんと仕事をせんと許可は取り下げるのでな。責任を持って、仕事をするように」
「するべきことをしていないと本を取り上げられるのは当たり前ですよね。わかりました。精一杯頑張ります」
世間では、宿題をせずにゲームばかりしていると怒られるらしい。
我が家でも、私の成績が
それと同じだ、と思えばいい。
私が働かなくてはならない理由はわかっているし、頑張った後のご褒美に読む本ほど良いものはないとも知っている。
大丈夫だ。
本のためなら頑張れる。
真剣な顔で頷く私を何故か困惑顔で見た学園長先生が「山本シナ先生」と言った。
誰のことだ、と思っていると、背後の障子がカラカラと開いて優しげなおばあちゃまが出てくる。
「お呼びでしょうか」
「今回の天女様じゃ。一刻も早く例の部屋へ案内してやってくれ」
「かしこまりました」
参りましょう、とにこりと微笑まれ、私は無意識にこくりと頷いた。
「今日はもう遅いので、具体的なことは明日からじゃ」
失礼します、と頭を下げて出て行く私の背中を、学園長先生の言葉が追いかけてくる。
山本先生の後ろを歩きながら、いつの間にか学園長先生から敬語が完全に抜けたな、と私はどうでもいいことを考えていた。
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魚月(プロフ) - 小桜さん» わかります!めちゃくちゃあるあるですね!ありがとうございます。参考にさせていただきます! (2022年3月29日 20時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 魚月さん» そうなんです! 私も本大好きなんですよ〜。私の場合は、途中まで読んだ本を栞を挟んだりするんじゃなくて、開いたまま伏せて置くのが許せません! 型が残ってしまうので。……これは結構あるあるなんじゃないかな〜って思ってます! (2022年3月28日 22時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
魚月(プロフ) - (続き)夢主ちゃんを究極の本好きにするため、本好きの友人達から「本好きあるある」を募って書いています。私はこうだな、というのがありましたら、ぜひ教えてくださいね! (2022年3月28日 19時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
魚月(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます! 夢主ちゃんと気が合いそうとは、小桜さんもなかなかの本好きですね。……実は作者もです笑。 (2022年3月28日 19時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - ヤバい……夢主ちゃんの言うことめっちゃ分かる……!! この子とは気が合いそうです! とても面白く、続きが楽しみです。更新頑張って下さい! (2022年3月28日 7時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真白 | 作成日時:2022年3月15日 9時