7．わたしの背後霊 研二くん【警察学校組】

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「う、ぐ……っ」









胸元を圧迫されているせいで、息が上手くできない。


なんとか抜け出そうと踠くけれど、あっという間に窓の傍まで連れて行かれる。




背後で開かれる大きな窓。

吹き込んでくる風の強さに思わず目を閉じた。









「おい！！その子を離せ！！！」









手を伸ばした先でコナンくんが慌てたようにこちらに駆け出してくる。



来ちゃダメと言いかけた刹那、私の体は呆気なく宙に投げ出されていて。









「＿＿＿＿＿＿Aッ！！！！」









窓から体を乗り出すヒロくんの顔は、今までに見たこともないくらい、恐怖の色に染まっている気がした。






もの凄い勢いで迫ってくる地面に恐怖して、ぎゅうっと強く瞼を閉ざす。



風の音だけが辺りを包み込む真っ暗闇。


次に目を開けた時には、もうこの世界には居ないのかな。





まだ警察官になるって夢、全然叶ってないのに。



みんなと一緒に仕事するって夢も、一緒にお酒飲むって約束も、ちゃんと無事に戻るって約束も、何にも果たせてないのに。






私には全部、無駄なことだったのかなぁ。









「研二、くん……」









微かに呟いた名前は、風と共に空高く拐われてしまった。









「＿＿＿＿＿＿おい、A！！！今すぐ目ぇ開けろ！！！！」









多分、心のどこかでもう諦めていたんだと思う。




だからこそ、いっそもう耳も塞いでしまおうと、そう思っていたのに。


目の前に現れたのは、あまりにも見知った小さな探偵さんの姿で。









「こ、なん、くん……ど、して……？」









泣きながら言葉を紡ぐ私に、彼は大きく声を張り上げた。









「オメーが、一人で無茶、すっからだろーが！！良いから、さっさと俺の手掴め！！！」










言われるがままに伸ばされた手を掴んで、小さな体を抱きしめる。






……狡い、狡いよ、コナンくん。



私もう、死ぬのだって覚悟してたんだよ。


みんなが助かるなら、このまま死んでも良いかなって思い始めてたんだよ。






なのに、なのに。



＿＿＿コナンくんのせいで、全部全部、諦められなくなっちゃった。









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「＿＿＿＿＿＿っ、助けて！！！研二くん！！！！！」










コナンくんの体を強く抱きしめながら、喉が張り裂けそうなくらいに、大切なその名前を叫ぶ。




お願い、お願い。届いて、研二くん。



私のことは助けなくてもいいから、お説教なら後で聞くから。


お願い。



……コナンくんだけでも、助けて。









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