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「______ほんとに私たちだけで来て良かったのかなぁ」
小声で呟いてもぐわんぐわんと反響する、無機質な空間。
真上に浮かぶ大きな風船を見上げながら不安を口にすると、前を歩く三人が一斉にこちらを振り返った。
「ちょっとくらい大丈夫よ!Aさんったら心配しすぎ!」
「そうですよ!それに僕たちの作戦は完・璧です」
「バレなきゃ犯罪じゃねぇって母ちゃん言ってたぞ!」
元太くんの言葉に「いやなんてこと息子に教えてんのお母さん!!」と叫ぶ脳内研二くん。
でも、と渋る私を他所に、三人は「レッツゴー!」と元気よく歩みを進めていく。
うう、こんなのれーくん達にバレたら絶対怒られちゃうよ。
_______こうなった理由は、今から約三十分ほど前に遡る。
スカイデッキの宝石を見てダイニングに戻ってきた私達は、今度は飛行船の中を探検しようということで、博士達に部屋でトランプをすると言ってここに足を踏み入れたのだ。
途中喫煙室とかキッチンとか色々寄り道はしたけど。
思い返すと私達四人だけで何かをするのはこれが初めてだ。
いつも近くには研二くんが居たし、コナンくんや哀ちゃんが引っ張ってくれていたから。
「……きっと大丈夫、だよね」
探偵団の証として博士に貰ったバッチを見つめながら、自分に言い聞かせるようにそう言葉を紡ぐ。
大丈夫、何かあっても私がみんなを守ればいいんだから。
いざとなったら、この探偵バッチでコナンくんを呼ぶことも出来るんだし。
そんなに不安になるようなことじゃないよね。
「Aさーん!早く来ないと置いてっちゃうよー!」
「あ、うん!今行く!」
______コナンくんから通信が入ったのは、それから数十分後の、飛行船の探索もまだまだ中盤に差し掛かったくらいのことで。
何気なく通信を繋げると、次の瞬間にはコナンくんの「Aさん!!」と呼ぶ声がキーンと私の耳を貫いていた。
う、声大きい。
《元太達は?!そこに居る?!?》
「う、うん。みんな居るよ。それがどうしたの?」
《今すぐ元太の容体を確認して!!》
「え、わ、分かった」
コナンくんの声に気圧されながらも、いたって元気そうな元太くんに体調を聞いてみる。
案の定、元太くんの返事は「鰻重100杯食えるくらいには元気だぜ!」で。
そのことをそのまま伝えると、途端にコナンくんは黙り込んでしまった。
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無糖(プロフ) - シンデンさん» すみません、表紙絵の方は少し厳しいかもしれません……💦ご期待に添えず申し訳ないです🙇♀️ (4月23日 23時) (レス) id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
FRISK。(プロフ) - 一気に読ませて頂きました!続き楽しみにして待ってます! (4月22日 6時) (レス) @page42 id: 6b38b8c85b (このIDを非表示/違反報告)
シンデン - 無糖さん» 無糖様返信有り難うございます。勿論モラルは守るつもりです常識と良識もって誠心誠意書かせてもらいます。とっっっても失礼なのですがあの、表紙の絵を書いて頂くことって出来ますでしょうか?もしも出来れば御願いしたいです。原作ファンも喜ぶと思うので… (4月21日 9時) (レス) id: 041e3f6835 (このIDを非表示/違反報告)
戦国娘(プロフ) - 更新待ってました!何気に浪速コンビとの絡みがここでやっと何だな〜と読みながら思いましたwww映画でも胸アツな2人だったので本編でも夢主との胸アツストーリーを楽しみにしてます😊 (4月20日 0時) (レス) id: 27df865018 (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - シンデンさん» コメントありがとうございます!私としても初のご提案だったので、返答が遅くなってすみません💦二次創作(三次創作?)の件ですが、作品元を明記する、本文をコピぺしない、等のモラルを守ってくださる場合に限り大丈夫です…!うちの子をよろしくお願いします! (4月19日 21時) (レス) id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
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