7．わたしの背後霊 研二くん【警察学校組】

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《ということは、元太には感染らなかったのか……それともまだ潜伏期間なのか……？》


「え……？」









みんなの賑やかな声をよそに、スピーカー越しに何かをボソボソと呟くコナンくん。


感染らなかったのかって、一体。








「……ねぇ、コナンくん。外で一体何があったの？」








私の問いに、バッチの向こうで微かに息を呑む音がする。



少しの沈黙。

やがて何かを決意したような声が、ゆっくりと鼓膜を震わせた。









《……感染者が二人出た。この言葉の意味、Aさんなら分かるよね》


「っ……」








分かりたくないのに、分かってしまった。


その言葉が示しているのはつまり、【赤いシャム猫】が盗み出した致死率80%の細菌が、この飛行船内にあるってことで。






＿＿＿怖い。

事態を把握した瞬間、その二文字が頭を埋め尽くす。




もしもこのまま、地上に生きて戻ることが出来ないと考えたら。


もう二度と、じんぺーちゃん達に会えないかもしれないって考えたら。






押し黙る私を安心させるように、コナンくんの声が「大丈夫だよ、Aさん」と紡ぐ。








《俺もすぐ合流するから、Aさんはあいつらの傍に居て。もし何か異変があったらすぐ俺に知らせて。良い？》


「うん、分かった。……気をつけてね、コナンくん」



《あぁ、Aさんもね》









そこでプツリと途切れてしまう通信。

背後では不思議そうな顔をした三人が私を見つめている。








「Aさん、コナンくんなんて言ってたの？」








歩美ちゃんの問いに、思わず正直に答えそうになってしまって、すぐに口を噤む。

本当のことを言ったら、きっと余計にみんなを不安にさせてしまう。



なんとかして、誤魔化さないと。








「……あ、えっと、俺も後で合流するから、それまで探検続けてろってさ！」



「え、コナンくんも来てくれるの？！やったー！」

「あいつが来たら松田が撮った写真見せてやろうぜ！」

「賛成です！」








私がみんなを、守らなきゃ。








「っ、Aさん！良かった、全員無事だね」


「コナンくん……！」








あれからコナンくんと合流した私達は、すぐに探検を中止してキャビンに戻ることとなった。


最初は不満げだったみんなもただならぬ雰囲気を感じたのか、今は静かに言うことを聞いている。





そんな事態が変化したのは、人影に気づいたコナンくんがどこかへ走り出した時で。

頭上で突然響き渡るプロペラの音。



この音って、もしかしてヘリコプター？







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