4．わたしの背後霊 研二くん【警察学校組】

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「そうはさせるかぁ！！！！」








館長さんの叫び声が建物中に響き渡る。



コナンくんは館長さんが振りかぶったパイプを綺麗に避けると、エレベーターの隙間ギリギリに飛び込んでいった。


これで歩美ちゃん達三人は安全だ。





あとは……私が、時間を稼ぐだけ。




館長さんをみんなが倒すために、時間を稼がないと。







「こ、怖いよぉ！」







セリフが棒読みにならないように気をつけて、わざとらしく大きな声を出す。



するとエレベーターを覗き込んでいた館長さんの瞳が、ギロリと私の姿を捉えて。


大丈夫、大丈夫。怖がっちゃダメだ。焦っちゃダメだ。

ちゃんと相手のことを見て、タイミングを見計らって、それから動いたって、十分に間に合う。





自分を、信じないと。








＿＿＿『A。俺は今から、お前にある言葉を教える。警察官を目指す奴には絶対に必要なもんだ』








似顔絵捜査官になりたいと言ってから、じんぺーちゃんが私に教えてくれた言葉。



恐怖で真っ白になりそうだった頭に、ふとその言葉が蘇ってきて。


自分を安心させるように、小さな声で、それを口にした。








＿＿＿『焦りは、』








「最大の、トラップ……」


『じんぺーちゃんの名言だね？』








研二くんの言葉に頷いて、館長さんを真っ直ぐと見据える。


ちゃんと考えれば、失敗したりしない。








「まずは……お前からだぁあ！！」








ニタリとした笑みを浮かべた館長さんが、手に持ったパイプを振り上げる。



その瞬間、私は階段を一気に駆け降りて、手すりの部分をひょいっと飛び越えた。


本当は研二くんに抱えてもらって逃げるのも出来たけど、きっと油断させた方がいい。








『Aちゃんってさ、50m走何秒だっけ？』



「7.9秒だよ！」


『道理で早いわけだよね？！だいぶ余裕持って走ってるもんな？！？』








後ろから迫ってくる館長さんをチラリと見て、敢えて行き止まりである部屋に逃げ込む。




その隙に、先回りして窓を開け始めた研二くん。


一人でに窓が開いてる状況だけど、館長さんは私を追いかけることに夢中で気付いていない。







これなら、きっといける。








『Aちゃん！！！飛べぇ！！！！』



「っ、！！」








パイプを振りかぶった館長さんよりも早く窓枠を蹴って、窓の外で腕を広げている研二くんの胸に、勢いよく飛び込む。



そして無傷のまま地上に降り立ち、上を見上げると、館長さんは今までで一番怖い顔をして私を見下ろしていた。








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