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18話 ページ20

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「ねえ、A、これなんて読むの?」




今日もよく晴れている。

日の当たらない座敷の奥で私は寝ていた。
布団は敷かず、ただ畳にだらしなく寝そべっている。


少年が古い本を私に見せた。少年の歳の子供にとって馴染みのない漢字が綴られてある。


指がさした漢字の読み方を私は教える。
ついでに意味も教えると、納得したような顔で再び本に向き直る。


『明日、街の方に行こう』


出した声は悲しくなるくらい、平坦だった。

無機質な声は少年は本を握り締めた。



明日、街に行こう_____明日、里親の候補の人に会ってみよう。



これは私とこの子の暗号で、少年にとって死刑宣告のようなものかもしれない。




「僕はAと一緒にいたい」

声は震えていた。

私は少年の方は見ずに、天井を見上げた。




『それは、駄目だよ』

君は私よりすぐ死んじゃうでしょ。



「だったら!僕を鬼に」

『やめて……!お願いだから、そんなこと言わないで』



鬼に植え付けられた同族嫌悪。

私は君を嫌いになってしまう。




家を静寂が支配する。
これ以降、私と少年の会話はなくなった。




『君が無事引き取られないと、私は死ねないんだ』




なんて、言えるわけないでしょ。





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おもち - 赤い花白い花の歌詞が入っていてとても惹き込まれましたー!とても素敵です!!! (2020年3月24日 21時) (レス) id: 2fd70573e8 (このIDを非表示/違反報告)
茄子(プロフ) - 小説も挿絵も何もかもがとても素敵でした……素晴らしい作品をありがとうございます…… (2020年1月25日 23時) (レス) id: 58113d68f6 (このIDを非表示/違反報告)
モルス(プロフ) - 涙が止まりません……こんな素晴らしい作品をどうもありがとう…… (2019年12月2日 14時) (レス) id: d7cc26133c (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - 香坂さん» 語彙力が!高い!!よもやよもやです……本当に書いていてよかったと感じました!これからも頑張ります! (2019年10月12日 14時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
香坂 - 言葉使いや書き方、表現に引き込まれました。一つの本を読み終えた時のような気持ちになり、とても良い作品だと心から思いました。このお話が読めてよかったです。 (2019年9月18日 17時) (レス) id: c6f322a1f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:愛朗素 | 作成日時:2019年8月30日 21時

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