好きか、嫌いか、 Y.T 【7】

#328 ページ28

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タクシーの後部座席で髪を一つにまとめながら
送られてきた資料に再度目を通すけど


何が詳細はメールでって、
何も詳しく載ってないんですけど！！！


分かってるのはうちのブランドメインでってこと


モデルさんの名前もテーマも無い






まぁ受けちゃった仕事だし行けばわかるのかな、

ってこの時のあたしは何も深く考えてなかった






『はい、到着です』



タクシーの運転手さんに告げられ
お金を払ってから降りる準備




「領収書お願いします」


『お名前はいかがなさいますか？』


「南田でお願いします」





ちゃっかり南田さん宛ての領収書も貰って
スタジオへと足早に駆け込んだ






「すいませんっ
おそくなりました！
コーディネーターの唐沢です」



打ち合わせ中のテーブルについて挨拶をすると
一気にこっちへ視線が集まった

そして一人のきれいな女性が立ち上がる



『初めまして、唐沢さん。
本日カメラマンを務めさせて頂く鈴瀬です。
急にお呼び立てして申し訳ありません…
今日はよろしくお願いします』



ニコッと笑う彼女はとても綺麗で
ふわふわっと毛先にパーマがかかった
ミディアムロングの髪
真っ白な肌に長いまつ毛の影がおちてて

きっと私と同い年くらい？



こんな若いカメラマンさんなんて珍しいなぁ




鈴『唐沢さん？？』


「あ、はい！
今日はよろしくお願いします」


彼女の綺麗さについ見とれちゃって
ハッと我に返った



鈴『お2人ももうすぐ着くそうなので』


「2人？？」


鈴『はい、今日のモデルの…』




何もわかってない私にキョトンとした顔で
見つめる鈴瀬さん


そうだよね、モデルが誰か知らないまま
撮影に参加する人なんて普通いないよ


鈴『今日来るお2人は……

『あれ？Aちゃん？』





聞き覚えのある声に振り向くと

つい最近まで一緒にいた人が立ってた






「北山さん！？」


そしてその後ろから眠そうに歩いてる
もう1人の姿









「…裕太………」









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