好きか、嫌いか、 Y.T 【6】

#263 ページ13

.









裕太との別れから1年ちょっと



たくさんのことがあった







今まであったこと



全てを話した里穂と翔





2人とも、別れたことに何も言わなかったけど



やっぱ寂しいね…って





きっとそれは



私たちが何も変わらず生活してるから






お互いが欠けてしまった事が



まるで初めから何も無かったかのように






ただ、ただ目の前のことだけを見て




生きていたからなのかもしれない





一度だけシナくんと心くんにも会って


学生時代みたいに飲んで笑ったけど


そこにも裕太の姿は無かった





それも、“別れたから”じゃなくて



“あいつは忙しいからね”って



誰も口にはしないけど



多分そうなんだと思う







仕事は前と変わらず


南田さん色々なことを教えて貰いつつ


後輩ができたりして


その中で監督との仕事も少しずつ増やしていった




本当はドラマの撮影なんかもあったけど


テレビ局に関わるのは少し気が引けて


雑誌やPV、ジャケット撮影の現場に多く入った








そんなある日、監督から直々のお呼び出し





｢遅れてすいません！｣




待ち合わせのカフェに入ると


先にお店についた監督が待ってた





監督『大丈夫だよ、

むしろ時間ぴったり』




メニューを渡してくれて


店員さんにアイスティーを頼んだ






監督『久々の、大仕事！

準備から終わるまでの期間は半年

どう？やってみる？』




そう言って渡された資料には


大きく(仮)って書いてあって


まだほとんど決まってないらしい




決まってるのは


出演者・場所・日程


だけ




監督『構想も演出も

これから一から考えていくから』



そう言って微笑む




監督『この仕事、受けてくれるかな？』





その大きく(仮)と書かれた資料の表紙には





Kis-My-Ft2 アリーナツアー




そう描かれていた








.

#264→←#262

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す