百日草 (ページ31)

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拝啓。ページ31

黄side

信じたいような信じたくないような。それが北斗のお兄さんから話を聞いた正直な感想。

「なんで、こんなとこに…？」

「あ、いや、お見舞い？みたいな感じ……。ちょっと知り合いがね、入院してるから。」

「でもいま夜です。面会時間外なんじゃ…？」

「あー。えっと、特別室だからさ。その、時間が延長されてるんだ。ね。そういうことだから俺いくね。髙地くんも体調気をつけて。」

北斗だ。北斗はここにいる。根拠はない。でも、確かに北斗はここに入院してて、お兄さんはそれを隠そうとしてる。

「まって。」

「や、あの俺行かなきゃ。」

「北斗のお見舞いですよね？お願いします。北斗に会わせてください。俺ら、北斗と話したいんです。北斗が居なくなって、俺らもうぼろぼろなんです。お願いします。」

「北斗は、もうSixTONESじゃないだろう？あいつはもう君らと生きる世界が違うんだ。」

「まだ、受理されてません。北斗の辞表…。誰も北斗が辞めること受け入れられてない。北斗に戻ってきて欲しいと思ってる。だから必死に探してたんです。北斗のこと。」

「受理されてない…。どこに居るかもわからない北斗のことを、君たちは待ってたのか？」

もちろん北斗を待っていた。いや、待つとか待たないとかじゃない。SixTONESには北斗が必要不可欠で、俺らは北斗を求めていた。それだけのこと。

「俺らには北斗が必要なんです。だからお願いします。会わせてください。」

無音だ。俺らの他には誰もいない外来の待合室。怖いくらいの静寂の中で俺は頭を下げ続けた。

「北斗は、みんなに余計な心配かけたくないと言ってた。足枷になりたくない。SixTONESの躍進の邪魔をしたくない。そう言って悩みぬいた挙句。辞めると決めたんだ。」

「邪魔だなんてそんな…」

「あいつ病気なんだ。治って、元のような生活ができる見込みは……正直あまり高くないらしい。それでも髙地くんはは待てる？治るか治らないかすら分からない北斗を、受け入れられるの？」

「当たり前です。」

間髪入れずに答えた俺に、北斗のお兄さんは

「着いてきて」

それだけ言って歩き出した。

　