検索窓
今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:5,832 hit

ー8話ー ページ9

.






私が泣き止むと、健康診断が始まった。


最初は身長や体重、握力など普通なものだったが

途中から異能の効きやすさや誘導尋問の騙されやすさ、

戦略の立て方や身体の体質まで全て診断された。



何より一番大変だったのが、何もせず30分間待つこと。


隣にいた中原幹部も、首領(ボス)も何も話しかけてこないので

気が狂いそうだった。



そんな大変な診断を乗り越えた。

「じゃあ、後日結果は纏めて送るから、

其れ迄は中也君の補佐として簡単な書類作業をしておいてくれ。


期待しているよ。」



との、首領(ボス)からの指示ももらった。


嬉しかったけど、

それより中原幹部に褒めてもらって泣いたと云う事実が

少し気恥ずかしくて、素直に喜べなかった。



私達は

「失礼しました。」

と言い残し首領(ボス)の部屋を出た。




………

沈黙のまま歩く。



矢張り、少し気まずい。

話す話題もない上、相手のことで泣いてしまったからだ。



でも、このまま沈黙で歩いていたらまた捨てられてしまうかも。

其れは避けたい。


こんな居場所、初めてだから。


勇気を出して、私は口を開いた。

「あ、あのっ、……」



「手前、褒められ慣れてねェんだろ。」


「え…」

話しかけようとすると、そう云われた。


驚いた。

「手前がどんな環境で育ってきたのかは知らねえけど、

辛かったんだろ。」



中原幹部は、此方を向く。

綺麗な瞳。



私は思わずこくこく、と頷いた。




「俺が褒めてやるから。

俺が認めてやる。手前が喜ぶことなら、なんでもしてやるから。」



…………


何か喋らなきゃ。

なんて、思うことはなかった。



だって、こんな沈黙でも中原幹部は優しい言葉をかけてくれたから。


いいかな、とか思ってしまった。



でも自然と笑顔にはなっていたと思う。

純粋に、笑顔になれた。



今まで辛かったから。

「帰ったら、明日また来たら、教えて下さい。

分からないところもあって……


頼りにしてます、中原幹部のこと。」




「嗚呼。」



頑張ろう。



少しだけでも、優しさに触れさせて。





***

なんかクライマックスみたいになってるけど

書きたいものが色々あるのでまだ終わらないです…!

ー9話ー→←ー7話ー



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.8/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
52人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぜっけん - ( ・´ー・`)どやwさん» ありがとうございます笑文才に関して誉めていただけるのは凄く嬉しいです (2022年7月13日 22時) (レス) id: 841a07ca48 (このIDを非表示/違反報告)
( ・´ー・`)どやw - ヤバいって、すごいってことです。誤解を生む言い方をしてすみません(汗) (2022年7月11日 19時) (レス) id: 4e2cb1d965 (このIDを非表示/違反報告)
( ・´ー・`)どやw - 面白い・・(泣)文才が、やばい、とにかくヤバい。(語彙力無)w (2022年7月11日 19時) (レス) @page9 id: 4e2cb1d965 (このIDを非表示/違反報告)
ぜっけん - L I L Aさん» 有難うございます!此れからも更新頑張りますね! (2022年7月2日 0時) (レス) @page2 id: b6402c5da7 (このIDを非表示/違反報告)
L I L A(プロフ) - 作者さん、神ですか…!?中也推しなので本当に嬉しいです!これからも更新がんばってくださいね! (2022年6月25日 20時) (レス) id: 8b9ff3bd71 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぜっけん | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年6月25日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。