検索窓
今日:10 hit、昨日:50 hit、合計:6,588 hit

ページ7

.


私が 頷けば、彼は 満足気に 私の 頬を するり と撫でた。

そして、額、瞼、首筋、手の甲 の順番に 接吻(キス)を 落とした。

敢えて 唇を 避けるように 接吻(キス)する ものだから、焦れったくて 身を 捩ってしまう。

「 ふふ、如何されましたか? 」

きっと 彼は 分かっていて 聞いている。

私は 恥ずかしくて、口に 出せず、只々 彼に接吻(キス)を 強請るように 見つめた。

「 仰って 頂けなくては 分かりませんよ。ぼくは 魔法使い ではありませんので。 」

でも、策士な彼は笑みを一層深め、そう言うだけだった。

少しの 沈黙の 後、私は やっとの思いで 口を 開いた。

『 …き、す…してください… 』

言った後から、羞恥心が ぐんぐん 込み上げ、頬が 火照る。

きっと 真っ赤に なっている 私の耳を 彼の 冷たい指で ゆっくりと なぞった。

耳に触れられた時、思わず肩が跳ねた。

態と 私が 反応するように 指を 動かしている のだとは 分かっているが、一々、小さく 声を 漏らしてしまう。

「 …嗚呼、貴女は 本当に 愛らしい。 」

『 ひゃっ 』

彼が耳元でそう囁く。

彼の声が 私の耳に 木霊して、ぞわぞわ と 変な気分 になる。でも、不思議と 嫌ではない。

彼は 私を じっと 見つめた後、先程と 同じように、優しい 接吻(キス)をした。

そして、彼は 人差し指で 口を 押さえ、「 続きは帰ってからにしましょうか。 」なんて、妖美に 微笑んだ。

赤い 頬が 更に 熱くなって、脳が パンク しそうだ。

「 おやおや、冗談 ですよ。さぁ、暗くなる 内に 往きましょう。 」

そう 言って 私に 差し出された 手を 握った 時、安心 したのか、急に 眠気が 襲ってきた。

瞼が 重く、頑張って 起きて いようと しても、シャッターの 様に ガタガタ ずり落ちる。

睡魔に 負けて たまる ものか、とベンチから 立ち上がると、足元が ふらつき、彼の胸に 飛び込んでしまった。

「 おっと…眠い ですか?善い ですよ、寝ておいて 下さい。 」

『 ん…ねむくらいれす(眠くないです)… 』

「 無理は 善くない ですよ。お休みなさい、Aさん。 」

彼の手で 瞼は 優しく 閉ざされ、私は 安易に 夢の中へ 旅立っていった。







「 即効性の睡眠薬ですけどね、睡魔の正体は。 」


.

作者から。→←5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
78人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かふかねこ。 - うさまるさん» コメントありがとうございます。ちょっと大人っぽめを意識しているので嬉しいです!(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝) (4月21日 9時) (レス) @page13 id: a44144ac65 (このIDを非表示/違反報告)
うさまる - えっっっっっっっっっっっっろ(;゜∇゜) (4月19日 16時) (レス) @page13 id: 4c17b50875 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かふかねこ。 | 作成日時:2024年2月24日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。