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私が 頷けば、彼は 満足気に 私の 頬を するり と撫でた。
そして、額、瞼、首筋、手の甲 の順番に
敢えて 唇を 避けるように
「 ふふ、如何されましたか? 」
きっと 彼は 分かっていて 聞いている。
私は 恥ずかしくて、口に 出せず、只々 彼に
「 仰って 頂けなくては 分かりませんよ。ぼくは 魔法使い ではありませんので。 」
でも、策士な彼は笑みを一層深め、そう言うだけだった。
少しの 沈黙の 後、私は やっとの思いで 口を 開いた。
『 …き、す…してください… 』
言った後から、羞恥心が ぐんぐん 込み上げ、頬が 火照る。
きっと 真っ赤に なっている 私の耳を 彼の 冷たい指で ゆっくりと なぞった。
耳に触れられた時、思わず肩が跳ねた。
態と 私が 反応するように 指を 動かしている のだとは 分かっているが、一々、小さく 声を 漏らしてしまう。
「 …嗚呼、貴女は 本当に 愛らしい。 」
『 ひゃっ 』
彼が耳元でそう囁く。
彼の声が 私の耳に 木霊して、ぞわぞわ と 変な気分 になる。でも、不思議と 嫌ではない。
彼は 私を じっと 見つめた後、先程と 同じように、優しい
そして、彼は 人差し指で 口を 押さえ、「 続きは帰ってからにしましょうか。 」なんて、妖美に 微笑んだ。
赤い 頬が 更に 熱くなって、脳が パンク しそうだ。
「 おやおや、冗談 ですよ。さぁ、暗くなる 内に 往きましょう。 」
そう 言って 私に 差し出された 手を 握った 時、安心 したのか、急に 眠気が 襲ってきた。
瞼が 重く、頑張って 起きて いようと しても、シャッターの 様に ガタガタ ずり落ちる。
睡魔に 負けて たまる ものか、とベンチから 立ち上がると、足元が ふらつき、彼の胸に 飛び込んでしまった。
「 おっと…眠い ですか?善い ですよ、寝ておいて 下さい。 」
『 ん…
「 無理は 善くない ですよ。お休みなさい、Aさん。 」
彼の手で 瞼は 優しく 閉ざされ、私は 安易に 夢の中へ 旅立っていった。
「 即効性の睡眠薬ですけどね、睡魔の正体は。 」
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かふかねこ。 - うさまるさん» コメントありがとうございます。ちょっと大人っぽめを意識しているので嬉しいです!(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝) (4月21日 9時) (レス) @page13 id: a44144ac65 (このIDを非表示/違反報告)
うさまる - えっっっっっっっっっっっっろ(;゜∇゜) (4月19日 16時) (レス) @page13 id: 4c17b50875 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふかねこ。 | 作成日時:2024年2月24日 20時