今でも覚えている夢はありますか? ページ34
「今更だけど、お前、Aの弟だったんアルな」
狐と戯れていた少年に声をかける。酔っ払った銀ちゃんに絡まれている新八を助けようとは思わない。
狐との戯れをやめて、こっちに視線を移す。
「弟……うん、そうだな」
だがすぐに、視線を狐に戻した。
「?そーならそーと言ってくれれば良かったネ」
「だって、聞かれてないし」
「聞かなくてもわかれヨ」
「無理だわ!」
そう生意気に反抗してきた彼を、やっぱりガキだな、と心の中で思う。
「そーえばお前、名前なんて言ったアルか?」
「俺?俺は鴉織だけど」
「アオリ、あおり」
ようやく聞けた彼の名前を復唱する。
「おねーさんは……なんだっけ、かぐ……かげ……?」
「私は神楽ネ!神楽様とか、神楽お姉さんって呼んでくれてもいいアルよ!」
「ぜってー呼ばねぇ」
「ぜってー呼ばせてやる」
お互い心底ムカつきながら睨み合う。こう言い合ってるのを思うと、自分もまだまだ子供なのだろうか、と感じたりする。
「なんで2人で睨み合ってんの……」
外から少し呆れたような声が聞こえて、驚いて顔を上げれば、そこにはAがいた。
「サドたちは帰ったアルか?」
「サド……?あぁ、総悟たちのことか。帰ったよ」
「じゃあ、僕らもそろそろ御暇します。遅くまですみません」
いつの間にか銀ちゃんの肩を担いだ新八が立ち上がっていた。銀ちゃんの銀髪の隙間からほのかに赤い顔が見える。
「こちらこそ、急な誘いに付き合ってくれてありがとう」
家の外で、私、新八、担がれた銀ちゃんと、A、鴉織、武蔵が向かい合う。
「それじゃ、失礼します」
「A!バイバイ!また会おうネ!ついでに鴉織も!」
「俺はついでかよ」
最後に付け足されたことに少し不服そうな表情を見せる。対照的に、Aは少し口角をあげていて、嬉しそうだった。
でも、
「そうだ」
Aがその言葉を放った瞬間、彼女の顔が月に不気味に照らされる。
「ッ」
「……ううん、なんでもないや。それじゃあ、良い夢を」
結局、Aはそれだけ言って、家の中に鴉織と一緒に入って行った。
彼女が私たちに何を言いたかったかなんて、今の私の頭では、わかるはずもなかった。
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カクテル - 面白い (2017年8月28日 12時) (レス) id: 80b20f5b9c (このIDを非表示/違反報告)
むっちゃん - 神威、沖田の小説もっと見たい!! (2017年5月3日 12時) (レス) id: 19fee232b2 (このIDを非表示/違反報告)
むっちゃん - 面白い! (2017年5月3日 12時) (レス) id: 19fee232b2 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - めっちゃ面白いです!じゃすとみーと!!ヒロインちゃん食レポ上手ですね(笑) (2017年4月27日 19時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
紅蓮姫百合桜 - 、、、神同然ですね!これからも頑張ってください (2017年4月26日 10時) (レス) id: 740b7f73f9 (このIDを非表示/違反報告)
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