少年と赤薔薇の庭園 ページ3
▽
連れていかれたのは応接間らしきところのソファ。
上等な素材で作られたそれは、寝転がるとふわんとした感覚が広がって気持ちよかった。
「とりあえず、此処で休んでいてください。多分もう少ししたらお母様が帰ってくると思うので、そうしたらお母様に診ていただきましょう」
そう言うと、赤い髪の少年は俺を残してどこかへ向かおうとする。
その顔は何か罪を追われているような、怯えているような、追い詰められたような顔だった。
それが何だか心に残って、俺は思わず赤い髪の子の腕を掴んでしまったんだと思う。
「ど、どうしました？！」
腕をいきなり掴んだからか、赤い髪の子は身体を跳ねさせて驚いた。
「えっと、……体調が悪くてなんだか心細いんだ。少しそばにいてくれないかな」
咄嗟に作り出した言い訳だ。
赤い髪の子は、酷く困惑した表情をした。
迷惑だったかな、と後悔しつつも、あんな表情をしている人に事情がないわけがない。
「身体が辛いんだ。紛らわすために、なにか俺と話してくれないだろうか」
強引にそばにいて、と強請ると、赤い髪の子は随分と思案した後、小さく頷いてくれた。
＊
赤い髪の子はリドルと名乗った。
ここは診療所兼リドルくんの自宅で、医師である親が不在なため、診療所に繋がる庭園で倒れていた俺をとりあえずここに連れてきてくれたらしい。
何やらこれから勉強の時間だったらしく、すぐ隣のテーブルで床に座りながらリドルくんは分厚い問題集を解きながら、俺と話してくれた。
俺はこれまで見てきた不思議な夢の話を冒険譚のようにリドルくんに聞かせた。
実は誰かにずっと話してみたくて、リドルくんがきらきらとした目で聞いてくれてとても嬉しかった。
代わりにリドルくんからは将来の夢の話を聞いた。
リドルくんは将来優秀な医師になりたいらしい。
…いや、ならなきゃいけないらしい。
「お母様もお父様も優秀な医師なんです。人を助け、癒す。医師は素晴らしい職業だと思う」
「そうだね」
「だから、僕は医師にならなきゃいけないんだ。医師になって家を継いで、優秀で輝かしい人生を送って……じゃないと、お母様に……」
リドルくんはそこまで言うと、黙り込んでしまった。
机の上には、到底終わりそうにない問題集が。
リドルくんに聞くと、テストで満点を取るために、まだまだ他の問題集を解かなきゃいけないらしい。
俺はここでふと家族のことを想った。
。
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ババロア - とてもこの作品📒🔖が好き😻🫶💕です❣️無理せず更新🆕頑張ってください‼️ (1月2日 11時) (
レス) @page19 id: 8d5fad07b1 (このIDを非表示/違反報告)
とまとじゅうす - アーーーーーーーー！！！！！！！！！！！好きーーーーーーーーーーーー！！！！(唐突な告白)続きが気になりすぎて夜しか眠れません！！更新楽しみにしてます！！ (2023年4月16日 12時) (レス) @page19 id: a1abbce39e (このIDを非表示/違反報告)
乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します！こういうの初めて見ましたけどめっちゃ好きです！夢主の愛されいいですよね！私愛され大好物なので嬉しいです！無理せずに頑張ってくださいね！ (2023年3月19日 6時) (レス) @page19 id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
もぶ(プロフ) - この作品大好きです！何回も読ませて頂いています。更新待ってます！ (2022年8月6日 17時) (レス) @page19 id: 38a56b994f (このIDを非表示/違反報告)
洸 - 上手く言えないですけど、今までにない素晴らしい作品だと思います。続きが気になって仕方ありません…。必ず読みますので、更新していただけないでしょうか。 (2022年4月28日 20時) (レス) @page19 id: 7c958e334b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きさらぎはるか | 作成日時：2020年10月2日 19時
