少年と夕暮れの王国 ページ40
▽
「スコルピオ…？」
「そうだ、確かそんな名前でした。」
「隊員には彫り物があるか？」
「うん！みんな蠍のタトゥー入れてる！」
「スキンヘッドで、黒の皮の服を着てた！」
レオナは低い声で説明してくれた。
＊
「じゃあ早く捕まえないと！」
「そう出来れば楽なんだがな…」
レオナから聞いた話をまとめると、
暴力、窃盗、恐喝、なんでもやる最悪のグループなんだとか。
「どうして出来ないの？」
「スラムの犯罪は多すぎる。だから警備隊はスラムを管轄外にしている。言っても聞いてくれないだろう」
レオナはそう言って遠い目をする。
おばあさんや子供たちは藁にもすがる目でこちらを見つめている。
どくんどくんと強く鳴る心臓が、彼らをこのままにするのかと俺に訴えている。
「本当に出来ないの？」
レオナの翠の瞳がゆらゆらと揺れる。
レオナは俺をじっと見たあと、覚悟を決めたように口を開いた。
「いや出来る。やってみせる」
＊
多少砂に汚れていたとしても、払ってしまえば服は元の輝きを取り戻した。
戻る道で、手頃なフード付きのマントを買うと、レオナはそれを俺に着せた。
しばらく走ると、夕陽に染まりかけている王宮の門が見えてくる。
王子なのでレオナは顔パスでそこを通ると、真っ直ぐにとある場所へと向かった。
「おや、レオナ様じゃないですか。王宮警備隊になんの御用ですか？ レオナ様は警備隊なんか要らないんじゃないですか。だってその魔法で砂にしちゃえばいいでしょうからねぇ」
どうやらこれもスラムに来ない理由なのだろうか。明らかに人を見下した態度に、レオナの機嫌が目に見えて悪くなる。
だけどここで立ち止まる訳にはいかない。
「警備隊を貸せ」
とぼけて話をずらそうとしたり、砂にしないんですかぁ？と明らかにレオナを煽る隊長に、レオナは顎で後ろを見ろ、と示す。
「純白の服にその刺繍、も、も、もしかして……」
「慈善事業でお忍びでスラムに降りたいのだと。そうか、警備隊は協力してくれないのか…」
「第一部隊！第二部隊！緊急招集だ！全員武装を整え、王門前に集合せよ！」
俺の正体を上手い具合に勘違いしてくれた隊長のおかげで、素早く軍備が整う。
悪戯が成功したようにフードの下で笑った俺に、レオナはふっと口元をあげて見せた。
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きさらぎはるか(プロフ) - 茶茶さん» その言葉が最高に幸せです！遅筆で本当に申し訳ないですが、できる限り頑張ります。読んでくださってありがとうございます！続編もお楽しみ頂けると幸いです！ (2020年10月2日 19時) (
レス) id: 25ad4ecffd (このIDを非表示/違反報告)
きさらぎはるか(プロフ) - アイトさん» 前から読んでくださってるとは本当に嬉しいです。ありがとうございます。遅くなりましたが続編作成致しましたので、そちらもお楽しみ頂けると幸いです！コメント励みになります！ (2020年10月2日 19時) (レス) id: 25ad4ecffd (このIDを非表示/違反報告)
茶茶 - 遅れました?!続編おめでとうございます！！この作品めっちゃおもしろくて、大好きです！これからも、無理せず更新がんばって下さい！ (2020年9月28日 22時) (レス) id: 0a249ceab0 (このIDを非表示/違反報告)
アイト - 作者様...爆死、ドンマイです。前々からこの作者が大好きで読ませて頂いていました。続編おめでとうございます。これからも楽しみにしています。夢主君ガンバレ...!! (2020年9月23日 18時) (レス) id: 480ca03fdd (このIDを非表示/違反報告)
S a t h i(プロフ) - いっぱい稼ぎますね( ^ω^ ) (2020年9月23日 18時) (レス) id: 34748ec2aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きさらぎはるか | 作成日時：2020年8月1日 19時
