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少年と獅子の王国 ページ11






「…なんだそれ、」

「未来のレオナだよ」


「王様は王様だろう? けれどレオナはレオナだ。王様にならなくたって、レオナの優秀さをみんなは直に知ることになるよ」


引用元は昔よく読んでいた漫画だ。
ポンコツな王様の参謀になって、王国を発展させていくという物語。
正にレオナにぴったりじゃないか。


「俺が王様に向いてないっていうのか…?」

「そういうことじゃないよ」


不安そうにしているレオナに、最後に俺は告げる。


「これだけ国のことを思っているレオナなら、王様にならなくてもこの国を守れる。それよりも王様にならない方が動きやすくていいかもね」

「王様に、ならない道…」

「そう。最後にこれだけは言っておくね」





「どんな道に進んでも、俺はずっとレオナを見ているよ。レオナは一人じゃないよ。」





それが俺がずっと言われたかったこと。

愛すべき家族がいなくなって、この顔のせいで友達もいなくなって、バイトから帰るとアパートに一人になって。

暴力より暴言より、俺の心を蝕んだものは“孤独”だった。

一人で進むのは辛い。それがまだ行ったことのない未知の世界だったら尚更。


ーーー俺だってあの時誰かにこう言われてみたかった。





そろそろ時間(・・)みたいだ。

ゆっくり手を振った。

レオナくんがこちらに近づこうとしているのを見て、突然顔のことを思い出す。

近づかれたらやばい!

慌てて近くにあった花で顔を隠すと、レオナくんは茂みから抜け出して、俺の前に立って言った。



「いつか、お前が、俺がいてよかったって感謝するような国にしてやる!」



そう言ってレオナくんは不遜に笑う。
お父さんに似た大地の色の髪が、風で靡きながら太陽に照らされてきらきらと光った。
なにより、レオナくんのその草色の瞳が、強い意志の光を帯びていた。




「がんばれ!」




単純な言葉だけど、気持ちだけは満タンに込めて。

消えていく最中で、俺は心からレオナくんの応援をした。





少年と熱砂の砂漠→←少年と獅子の王国



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きさらぎはるか(プロフ) - 茶茶さん» その言葉が最高に幸せです!遅筆で本当に申し訳ないですが、できる限り頑張ります。読んでくださってありがとうございます!続編もお楽しみ頂けると幸いです! (2020年10月2日 19時) (レス) id: 25ad4ecffd (このIDを非表示/違反報告)
きさらぎはるか(プロフ) - アイトさん» 前から読んでくださってるとは本当に嬉しいです。ありがとうございます。遅くなりましたが続編作成致しましたので、そちらもお楽しみ頂けると幸いです!コメント励みになります! (2020年10月2日 19時) (レス) id: 25ad4ecffd (このIDを非表示/違反報告)
茶茶 - 遅れました?!続編おめでとうございます!!この作品めっちゃおもしろくて、大好きです!これからも、無理せず更新がんばって下さい! (2020年9月28日 22時) (レス) id: 0a249ceab0 (このIDを非表示/違反報告)
アイト - 作者様...爆死、ドンマイです。前々からこの作者が大好きで読ませて頂いていました。続編おめでとうございます。これからも楽しみにしています。夢主君ガンバレ...!! (2020年9月23日 18時) (レス) id: 480ca03fdd (このIDを非表示/違反報告)
S a t h i(プロフ) - いっぱい稼ぎますね( ^ω^ ) (2020年9月23日 18時) (レス) id: 34748ec2aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きさらぎはるか | 作成日時:2020年8月1日 19時

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