【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ27)

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第76話ページ27

翌日、漫遊寺中に到着した雷門イレブンは、学校の様子を見て目をぱちくりさせた。

イプシロンからの襲撃予告によるものだろうか、敷地内には巨大な穴が空いているが、その周りには柵が立てられているだけで生徒の誰もそれが当たり前の風景であるかのように過ごしている。穴が空いた時の衝撃で壊れたらしい石塀の上に座って談笑している生徒も多く見られ、風丸と塔子は呆気に取られて「なんか、のんびりしてるよな…」「襲撃予告なんて全く気にしてない感じ」と溢した。

「とにかく、サッカー部を探そうぜ」

円堂が皆に呼び掛けると、後ろの方から「サッカー部なら、奥の道場みたいだよ」と吹雪の声が聞こえてくる。どうして場所を知っているのだろうか――不思議に思って振り返ると、2人の漫遊寺の女子生徒が吹雪の両隣に立っていた。
「どうもありがとう」吹雪に微笑まれ、2人は嬉しそうに「どういたしまして」と頬を淡く染める。

「また何かあったらよろしくね」

「「はーい!」」

素でやっているのか自覚があるのか、本当のところは分からないが、京都でもマイペースを貫く吹雪を見て雷門イレブンは困ったように笑った。彼は如月に感心した様子で『吹雪君、流石だね』と言われたが、何のことか分からないと言うように首を傾げたので、天然でやっているのかもしれない。

＊

吹雪が女子生徒から得た情報を頼りに、一同は校舎の廊下を歩いていく。如月が和を感じさせる敷地内の景色を物珍しそうに眺めながら歩いていると、廊下を曲がった時に見えた建物を「あ、あれじゃないかしら」と木野が指差した。扉の上に掲げられた札には“蹴球道場”の文字がある。それを見た鬼道は「みたいだな」と頷いた。

「間違いない! よし、行くぞ皆!!」

「「おう!!」」

木野と鬼道の間からスッと顔を出した円堂は、道場を見るなり歩む足を速める。靴下だからもう少しゆっくり歩いた方がいいのではないか――如月が『あ、円堂君…』と声を掛けるが、その声は彼に続いた皆の背中に消えてしまった。

期待に胸を膨らませて進んでいく彼らを眺めていると、突然先頭を歩く円堂をはじめに「…だ?」「うわｯ」「い!」「う」「え!?」「うお!!」「うわあ!!」と声が上がった。最後に「す、すまん!!」と風丸の謝る声が聞こえると共に、衝撃が廊下に響き渡る。どうやら円堂が途中で躓いてしまい、後に続いたメンバーは止まれずに巻き込まれてしまったようだ。