【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ26)

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第75話ページ26

ジェミニストームを倒した雷門イレブンは、新たな敵･イプシロンを追うべく白恋中を出発した。休憩のために寄ったパーキングエリアで、一同は缶の飲料を片手に瞳子の話に耳を傾ける。曰く、イプシロンから京都にある漫遊寺中へ襲撃予告があったらしい。

「漫遊寺中? 聞いたことない学校だな…」

「たしか、フットボールフロンティアにも参加してなかったわね」

初めて聞く名前の学校に、雷門イレブンはピンと来ていない様子だ。夏未の言葉に音無が頷くと、瞳子は「漫遊寺中は学校のモットーが“心と体を鍛えること”で、サッカー部も対抗試合はしないのよ」とその理由を説明した。

対抗試合こそしないが、フットボールフロンティアに出場していれば優勝候補の一つになり得ると言われる程の実力があるようだ。その情報に「優勝候補!?」と雷門イレブンは声を揃えて驚いた。

「イプシロンは、無差別に学校を襲っていたジェミニストームと違い、隠れた強豪校に照準を定めてきた…。……イプシロンを倒せば、エイリア学園の本当の狙いが分かるかもしれないわね」

瞳子は顎に手をあてて考えたように呟くと「すぐ漫遊寺へ向かうわよ」と雷門イレブンに言う。彼らは表情を引き締めて「はい!」と返事をしたが、如月は手元のまだ開けていない缶を沈んだ瞳で見つめるだけだった。

「加澄さん?」

皆がぞろぞろとキャラバンに戻っていく中、座ったままの如月に気付いた吹雪が声を掛ける。2回程呼ばれて漸く我に返った如月は、ハッとして『どうしたの?』と吹雪を見上げた。

皆が戻っていっていることに気付いていないのだろうか――彼女の返答に内心驚きつつ、吹雪はキャラバンに乗り込む雷門イレブンを指差した。

「僕達も戻ろう」

吹雪に言われて自分達だけがまだ残っていたことに気付き、如月は『ああ、うん』と慌てて立ち上がる。ふらりと足元がよろついてバランスを崩しかけたところを、吹雪が咄嗟に受け止めた。

「大丈夫?」

『ごめん、ありがとう』

力なく微笑んだ如月がキャラバンの方へ歩き出した時、その横顔がまた暗い影を落としたのを吹雪は心配そうに見つめる。吹雪が付いて来ないので、今度は如月が『吹雪君?』と彼を振り返った。

「ああ…今行くよ!」

吹雪は小走りで如月のもとへ追い付くと、2人で並んでキャラバンに向かう。先にキャラバンに戻って座席に着いていた瞳子は、その様子を窓から不安気に見ていた。