第3話 ページ4
「あ、あのっ! 加澄さんって、“あの”如月加澄さんですか!?」
『うん、そうかも…?』
簡単な自己紹介の直後、行儀良く右手を真っ直ぐに挙げて突然声を上げたのはマネージャーの音無だ。
彼女の言う如月加澄がどの如月かは分かっていない如月だったが、首を傾げながらも否定はしなかった。その反応に「やっぱり!」と嬉しそうな声を上げた音無は、如月に駆け寄ると握手を求めた。
「私、加澄さんのファンなんです! お兄ちゃんの読んでたサッカー誌で知ってから一目惚れしちゃって…!」
『ふふ。そうなんだ、ありがとう』
興奮しているのだろうか、音無は早口でそう言うと、握り返された手を上下に振って目を輝かせる。彼女の後方にいた鬼道は、その光景を微笑ましそうに眺めていた。
「まさか、幼い頃に雑誌で見ていた奴に会えるとはな」
「ああ」
「すげーよな! 早く加澄と一緒にサッカーしたいなあ…!」
鬼道の言葉に豪炎寺が頷く。
幼い頃からサッカーをやっていた彼らは、小学生の当時、同い年の女子選手が活躍している様子をメディアを通して知っていた。その本人を目の前にした今、普段は表情の変化が大きくない2人も自然と口角が上がっている。
如月の存在を知っていた円堂も、彼女のプレーを直接見られることに胸を躍らせていた。
「なになに、そんなに有名人なんだ?」
「どんなプレーをするのか楽しみだね!」
幼少時代をアメリカで過ごした土門は如月のことを知らないようで、鬼道と豪炎寺の様子に興味を示す。土門と同じく如月のことを知らなかった一之瀬は、彼女へ期待の眼差しを向けた。
雷門中に入ってから本格的にサッカーを始めた風丸や染岡らも如月のことを知らなかったが、円堂達の反応を見て彼女を心強く思ったのか、自然と明るい表情になっていた。
「――お前達。盛り上がっているところ悪いが、急いで出発のための準備をして来てほしい」
そこへ響木の声が掛かる。
打倒エイリア学園のために地上最強イレブンを目指して全国各地を巡ることになった彼らは、被害が拡大する前に雷門中を出発しなければならなかった。
「これから全国を巡ることになるから、暫く帰って来られないわ。各自、必要な準備ができ次第ここへ戻って来るように」
「「はい!」」
瞳子の指示で、雷門メンバーは各々の自宅へ散っていく。
既に準備を済ませて来ていた如月は、瞳子の隣でひらひらと手を振って皆を見送った。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
