第13話 ページ14
その後も試合は動かないまま前半が終了した。ハーフタイムに入り、雷門イレブンは各々が水分補給をしながら休息をとる。
大人のチームを相手に引けを取らない試合の様子に、木野と音無は「その調子よ!」「相手が大人だなんて思わせないくらいです!」と選手達にタオルを手渡した。夏未も「皆なら勝てるわ」と勝利を確信した様子だ。
「皆、聞いて。後半の作戦を伝えるわ」
そこへ瞳子がやって来る。
手を叩いて注意を引く彼女に雷門イレブンの視線が集まった。
「染岡君、風丸君、壁山君。あなた達はベンチに下がって」
「なんだって…!?」
「空いたスペースは、残りのメンバーでカバーして」
瞳子の作戦は常識外れのもので、名指しされた3人は「ええっ!?」と思わず声を上げた。
よろしくね、と平然とした態度の彼女に、初対面の時からの無愛想さも相俟って雷門イレブンからは不満が飛び出す。
「なんで俺が下げられなきゃいけないんだ!!」
「監督の考えが分かりません! ただでさえ厳しい状況なのに…」
「勝つための作戦よ」
染岡と風丸の抗議も聞かず、瞳子は踵を返した。
そんな彼女の背中を鬼道が呼び止める。
「待ってください。これでは戦えません」
「いいえ。これで戦うのよ」
「しかし――」
「後半、始まるわよ」
鬼道の意見までもが聞き入れてもらえず、瞳子はそのまま古株のところへ行ってしまった。2人は何やら話をしているようで、雷門イレブンはその背中を懐疑的に見つめる。
「ったく、一体何を考えているんだ…」
「あの人、本当にサッカーを知ってるのか…?」
「とにかく、今はこの試合に全力でぶつかるんだ! 全力で頑張れば、1人の力を2人分にも3人分にもできる筈だ!」
険悪な雰囲気が漂う中、円堂が宥めるように明るく声を掛けた。円堂と如月を除いた他のメンバーは納得していない様子だが、後半が始まるので染岡、風丸、壁山以外はそれぞれポジションについていく。
「なに…!?」
これには当然SPフィクサーズも驚きを示し、財前は眉を顰めた。8人しかいない雷門側のピッチを見た彼女が「何のつもり? あたし達を馬鹿にしてるの?」と鬼道に詰め寄る。しかし、鬼道にも瞳子の考えが分かっておらず「これは作戦だ」とだけ返すと彼も自身のポジションへ向かった。
「上手くいくんでしょうか…」
マネージャー達もベンチから心配そうに見守るなか、後半戦が始まった。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
