215#熱と神刀 ページ24
(Side,石切丸)
術式を書いている最中の主からは、
とても清浄な霊気が流れている。
普段からとても清浄ではあるが、それをも越える。
「あー、クラクラする。何だこれ……」
「主、顔が赤いね。熱でもあるんじゃ――」
青江が主の額に手を当てると、青江がハッとした。
「霊力の急速な消費の影響かな。熱があるけど」
「!! 青江、タオルと水を桶に。すぐに寝かせるよ」
「あぁ、分かったよ」
フラッと出て行った青江を横目に、
主の手から筆を取り上げ、血の入った瓶に蓋を閉め、
有無を言わさず姫抱きにし、彼の部屋へと急いだ。
私が急ぐと言っても、
急げているか分からない速さなんだけれども。
「降ろすよ?」
「んー……」
「石切丸、持ってきたよ」
「あぁ、助かるよ」
「にしても、あれは大変なんだね。
まだ半分も残ってるじゃないか」
「神隠しを補助する術がそんな簡単に出来たら堪らないだろう。
代償は必要なんだよ」
「それもそうだね」
額に濡れタオルを乗せられた折は、
虚ろな目を泳がせていた。
「書かなきゃ……」
「ダメだよ、主」
「……A、は?」
「Aなら、厨にいたけど。呼んでくるかい?」
「うん……」
体調を悪くするなんて、久々で少し驚いた。
元より、人の子などそういうものなのに。
しばらくすると、ばたばたと駆けてくる音が聞こえ、
Aが飛び込んできた。
『あぁ……! 折様、大丈夫ですか?』
「へーき、へーき」
「霊力が戻って、身体を休めれば大丈夫だとは思うけどね」
『無理が祟ったんですよ、折様。
適度に休みつつ、お仕事をして下さい』
「あはは、そうするよ……」
主のことはAに任せ、私は青江と部屋を出てきた。
「……主の家は、神に近いんだね」
「どういうことだい?」
「口にする祝詞とか、ね。
陰陽師のような部分も多いかな」
「あぁ……」
彼の家についても、聞かなくては。
(今日はもう寝てください。皆様には伝えておきます)
161人がお気に入り
「刀剣乱舞」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:久遠深ヶ | 作成日時:2017年1月15日 17時