さよならにブライダルベールを添えて。

8話 ページ10

貴方side



「君の未来はどうだった？」



ふと、聞いたことのない声が聞こえてきた。

気づいたときにはまた視界は白で染まっていて、
天を仰いでいた顔を戻せばそこには男とも女とも
言える中性的な顔立ちの人が立っていた。



『貴方、誰…？』



そう問いかければ、目の前の人はきょとんとしたあと
悩むように顎に手を当てしばらく悩んだあと言った。



「君たちで言うところの"神様"ってやつかな。」



『神様…？』



胡散臭いような笑みでそういい、
戸惑いしかない私の声にひとつ頷き言った。



神様「そう、神様。

……さて、本題に入ろうか。

君ももうすでに今までの人生でわかっているように、
今見た夢は未来で本当に起こってしまう。

そうなると、君の新しい友人を含め6人のうち、
君ともう一人を除いて皆死んでしまう。」



ああ、やっぱりか。
と神様の言葉に小さくため息をついた。

今までの経験からしても、これはもうどうしようもない
事実なんだと頭では分かっているけれど、心のなかでは
"ふざけるな"って叫んでるし、今見せつけられた事実に
頭も抱えたい。

でもみてるだけは、嫌だから。



『未来を変えることは出来ないの？』



神様「できない。世界の理を変えてしまうからね。

………でも、"未来を変える権利"を与えることはできる。
その権利があれば、君は自分の、人の未来の行く末を
好きなように変えることができる。

まあそれなりの"対価"が必要になるけどね。」



できないのはわかってたし、打開策も確実性に欠ける。
それでも縋らないわけにはいかないのだ。



『対価は？』



神様「対価は、"君の生きているはずの未来"だ。

未来を変える権利があるのは4人を助けるまで。
それまでは何があっても君は死なない。

でも、助け終わったら二週間後の零時ぴったりに
君は永遠に死ねずに眠り続けることになる



…さあ、どうする？」



疑問形で神様は聞くけれど答えはもう決まってた。

親も兄弟もいなくて、親戚に疎まれた私の、
自分の親や家族ですら守れなかった私の、
ちっぽけな未来ひとつで彼らを護れるのなら。



『いいよ、私の未来を対価に差し出す。
だから"僕"に、未来を変える権利をください。』



神様「…そうかい、じゃあ、頑張るんだよ
妾もできるだけフォローしよう」



『ありかとう、神様。』



呆れたような慈悲なような優しいような。
困ったように眉尻を下げて笑う神様の笑みは
なぜか死んだお母さんに似ていた。

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