結婚しても彼女に嘘は通じません。【夢野幻太郎】

口付け 壱 ページ8

普段こういう類は書かないのですが、少し挑戦してみました！少し可笑しなところがあるかもしれませんが、暖かい目で見ていただければと思います。

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それは彼女が会社にいる時の話。
出版社の仕事にもだいぶ慣れてきたある日の、お昼休みのこと。

「そういえばさ、詩乃って旦那さんいるんだよね？」
「え？はい、いますけど...それが何か？」

同僚から投げかけられた、特に深い意味もない疑問。

「へぇ〜、いいなぁ！ねえねえ新婚さんってさ、


毎日キスとかするものなの！？」
「...はい？」

悪意があるわけでも、下心があるわけでもない。
ただ、少しばかりメルヘンなことに憧れる彼女の、結婚していない彼女の、少しばかり大袈裟な夢。

「いやいやいや。そんな毎日毎日するものじゃないですよ。」
「ふーん。じゃあ週に一回とか？」
「...そんな頻繁にもしません。」

だんだん表情が硬くなる彼女に、同僚は決め手の質問を投げつける。

「じゃあ、どれくらいでするの？」
「...。」

何も言えなくなり、思わず口をつぐむ。

キス。

その聞きなれない言葉に思わず言葉が詰まる。

「え...まさかとは思うけどさ、一回もしたことないとか、...言わないでよ？」
「...。」
「嘘でしょー！？」


これがきっかけ。

なんてことないただの雑談が、この後いろいろと起こすなんて、この時は誰も考えてなかった。

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