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ブルースターのすれ違い（8） ページ16
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待っていてくれたタクシーに不破とAは二人で乗る。数十分の間、車内は静まっていて、お互い口を開かなかった。・・・
家に到着する。リビングの電気をつける。
「Aちゃん、ただいま」
「うん、おかえり」
二人は久しぶりに目を合わせた。
「ねぇ湊くん、シャワー浴びてきて」
「え？」
「別の女の人の匂いする、ヤダ、それ」
あの街で感じたこのツンとした匂いが〇〇の鼻にまとわりついていた。
「うん、ごめん。すぐあがるから」
不破がシャワーを浴びている最中、〇〇は暗い感情に襲われていた。
帰ってきてくれるだけで嬉しいのにこんなワガママになって、嫌われちゃったかな・・・
そんなことを考えながら〇〇はしばらくの間手に取っていなかったスマホを見る。
通知欄には不破からのたくさんの着信履歴が表示されている。
大好きなのにこんなちっぽけなことも受け止めることができなかったんだと、視界が滲んでいく。
「なーに泣いてるん？全部俺が悪いのに」
不破が〇〇を後ろから抱きしめる。
〇〇は更に涙が止まらなくなり、振り返って改めて正面から抱きしめ直す。
「やっと湊くんの匂いする」
「うん、ごめんね」
「他の女の人とちゅーしてた」
「マジごめん、気抜いてた」
「かわいいって言ってた」
「それもごめん、もう色恋やめるしなんならヘルプも行かんわ」
「さみしかった」
「俺も、ずっと触れたくてしゃーなかったよ」
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作者名：せりな | 作成日時：2024年2月3日 20時
